電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

オンライン面接を担当してみた

自宅でせっせと原稿を書いていた13時過ぎ、上司から電話がかかってきまして「申し訳ないけど、14時からの中途の面接をやってほしい」と言われました。そういえば、私の下にくる若手を採ると聞いたような…って、マテ!

面接するのは構いませんが、こちらは在宅で私の部屋です。社内のオンラインミーティングであれば身だしなみや背景をそれほど気にする必要はありませんが、面接となると話が変わります。あちらは第一志望で気合いが入っているかもしれず、礼をもって接しなければなりません。

ヒゲを剃り、髪の毛を整え、Yシャツに着替えてジャケットを羽織り、今回は念のために下もスラックスをはき、背景に生活感丸出しのようなものが映らないことを確認し(上司の電話を切ってからここまで約20分)、オンライン面接を始めました。

…何だろう、この手応えのなさ。

彼はどこからアクセスしているのか分かりませんが(男性でした)、真っ白な背景で、紺地のスーツに白Yシャツ、青と白のストライプのネクタイという、新卒のリクルートルック、笑顔を崩さず、微動だにせずに受け答えしているのを見ているうち、AIと話しているような気持ちになっていました。そして、そのまま終了です。

面と向かっての面接であれば、足先が少し動いたりするのが見えますし、決まり切ったような受け答えの中にもほんの一瞬だけ素が出るような場面もあります。また、面接が終わった後のリラックスしたところの1~2分の雑談でようやく素が見えることもあります。面接中は見送りと思っていた方を、終了後の1~2分の雑談で「もう1回、会ってみようか」と二次面接に進ませたこともありました。

しかし、オンライン面接となるとバストアップしか見えませんし、手元や足元は見えず、息遣いもほとんど感じられず、時間がきたら画面を閉じて即終了です。エレベーターホールまで付き添い、頭を下げながらエレベーターのドアが閉まる瞬間まで送ることもありません。

彼もオフィスの中に入るだけで空気感をつかめるでしょうし、通路で社員とすれ違ったりすればここで働くイメージが湧くでしょう。また、終了後の雑談は面接を受ける側にとっても大切なはずで、彼も手応えを感じられなかったのではないかと思っています。

正直言って、先に進ませる決め手もなく、かといって見送る理由もなく、一次面接だったのをよいことに、先に進ませて二次面接の上司に任せるつもりです(責任転嫁)。社内外のミーティングならまだしも、一期一会の面接にオンラインはあまりそぐわないように思いました。人事担当者も苦労するのではないかと。

ふと思い出せば、私もいまの会社に転職するとき、最終面接が米国の偉い人とオンライン面接でした。ただ、私の場合はそれまでに2回、実際に働く日本のオフィスで面接していたので、最終で社風がどうのこうのというのもなかったわけで。

彼はきっと最終面接までオンラインのはずで(残れば)、それはお互いにとってあまり良いことでないのではないかと思うわけです。そうはいっても、これから国内企業でもオンライン面接が増えるはずで、入社前後のギャップによる早期退職が増えないよう、祈るのみです。