電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

就職氷河期世代の非正規スタッフは能力が低いわけではない

編集アシスタントとして働いていた派遣スタッフさんが前の会社にいました。私より1歳下の男性で、私が辞めるときは40歳になったところでした。新卒で正社員として編集プロダクションに入ったものの、超絶ブラックで身体を壊して退職し、それからずっと派遣で働いてきたそうです。彼は大学を2002年に卒業した超就職氷河期世代です。

彼は超絶優秀で能力が高く、私を含めて正社員は彼に何度もミスを見つけてもらって助けられました。また、人間としてもできていて、他に取られてしまう前に正社員にしてくれ、と何度も上司に言いましたし、彼も正社員を希望していました。

しかし、人=コストとしか見ない会社だったので正社員にするわけもなく、私が辞めてから少し経って辞めたという話を聞きました。私が辞めるとき、転職活動していることを聞きましたが、正社員として働けていればよいのですが。

同年代の非正規スタッフはみんな優秀

これまで同年代の非正規スタッフを何人も見てきましたが、総じて優秀でした。他社で働く友人もみんな一様に同年代の非正規スタッフの能力は高いと言っていますし、40代の非正規スタッフがいないと仕事が回らないという会社は山ほどあるはずです。

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就職氷河期世代の支援を耳にするようになりましたし、昨日も政府会議が開かれました。それ自体は良いことだと思いますが、「氷河期世代に能力開発を」というのは何度聞いておかしいと思います。開発するまでもなく、能力が高い優秀な人材ばかりですから。

また「人生再設計第一世代」と名付けられましたが、再設計だなんて人生設計に失敗したみたいですし、100歩譲って失敗したとしてもそれは自分のせいではなく国や企業のせいでしょう。失敗した世代を助けてやろう、という上から目線が鼻につきます。

国の経済政策の大失敗と、それに伴う企業の勝手な都合で苦しい状況に陥っているのに、苦しい状況に追い込まれた側に「がんばれ」と言うのはおかしいはずです。「企業が求めるスキルを習得できるプログラムを作るから、正社員になりたい人はそれを受けてね。そしたら多分、正社員で採用してもらえるから、えへっ」と言われているとしか思えません。

適切な場所に金をばらまけ

就職氷河期世代を本当に支援したいと思っているのであれば、まず金をばらまくことです。企業や地方自治体にばらまいて、いま中に抱えている非正規スタッフを全員、正規雇用にしてもらえばいい。引きこもっている人には無理に社会に引っ張り出さず、死ぬまで生活保護を支給して安心して引きこもれるようにすればいい。

正社員採用を保証せずに能力開発プログラムだけ請け負う政府関係者が深く関わっている某人身売買企業に大金を渡して後は本人の問題というのは、結局、なーんにも考えていないということです。ホント、なめられ続ける世代です。

もちろん、何もしないよりは良い。ただ、あまりにもピントがズレすぎています。雇用・労働を所管する厚労省はもちろん、各省庁に相当数の望まない非正規スタッフがいて、現場が彼らにどれだけ助けられているか、それを知ればこんな施策をまとめないはずなのに。

就職氷河期世代の能力は絶対に低くない。