GMビルの思い出
めでたい町名、縁起が良さそうな町名がつくエリアは治安が悪いというのは、横浜市の都市伝説です。今回は「福富町（ふくとみちょう）」という、いかにもめでたいエリアの象徴と言っても過言ではないGMビルが破産した話を聞いたことによる思い出話です。
横浜市というと横浜駅周辺が中心と思われがちですが「関内（かんない）」という駅周辺が本当の中心です。神奈川県庁や横浜市役所本庁舎などビジネスの要があるほか、中華街や山下公園など観光の要があります（横浜駅からJRで2駅の距離です）。
そして、関内はJRの線路を挟んで海側と陸側で表情がまったく異なります。海側はビジネスや観光の要がある“ザ・横浜”ですが、陸側は良くも悪くも異文化が混ざり合っていて、横浜の本来の姿を現している地域が広がっています。神奈川県を代表する風俗街「曙町」があるのも陸側です。
福富町はもちろん陸側、かつてはオシャレスポットの最先端をいっていた伊勢佐木町のすぐ隣のエリアです。浮世舞台の花道の表と裏を体現したようなエリアで、写真の「福」のアーチの向こうは神奈川県警も迂闊に手を出せない治外法権になっています。
そのエリアは中国、韓国、フィリピン、タイなどから出稼ぎにきたホステスが金次第であんなことからこんなことまでしてくれるパブ、クラブが密集しています。初めて足を踏み入れたとき「ちょっとやべぇ」と思いました。
「ハマのメリーさん」なる存在をご存知でしょうか。もし、ご存知でなければ、Google先生に聞いてください。都市伝説を体現したような人で、GMビルはメリーさんがよく雨風をしのいでいた場所です。
横浜生まれ、横浜育ち、若いころはそれなりにブイブイ（死語）いわせていた親父曰く、GMビルは若造が近寄れないような場所で、メリーさんも何度も見かけたことがあるものの、近寄れない存在だったそうです。ちなみに、私が子どものころに野毛山動物園に行き、帰りにメリーさんを見かけ、怖くて大泣きしたらしいです。
GMビル内部の電気設備が壊れて停電し、修理しようとするも億単位の金がかかり、その他にも色々と法規制などがあって、破産すると入居テナントに連絡があったそうです。新聞記者時代のルートから小耳に挟みました。
街歩きのブログなどがたくさんありますが「表面的なことしか触れてねーなー」と思うことが多々あります。関内の陸側は横浜のディープスポットが多く、そのテのブログなどのテーマになりがちですが、その近くに住んでいる人間からすると、全然分かっていないと思うわけです。
なお、私は土地勘があり、写真を撮っても大丈夫な場所が分かっているのでパチパチと撮っていますが、詳しくない人はやたらと写真を撮らないほうが賢明です。日本のヤクザと各国のマフィアが入り組んでいますから。
いざ書き始めてみたらすごく長くなりそうなので、今回はとりあえずこの辺で。30代前半でイケイケなときの思い出が色々とあるのです。
