電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

就職氷河期世代はわがままなのか

7~9月に5日間、有給休暇とは別に夏季休暇を付与されています。私はきょうまで3日間を取得しました。9月を過ぎると消えてしまうので、残り2日間を消化するよう言われていますが、どう考えても休めない状況に陥っています。

しかし、本当に休みたいとき、例えばずいぶん前から旅行を計画していたとか、病院を予約していたとか、有休を取れないということはありませんし、会社としても有休取得を推進しています。

前職も前々職も有休は自由に取れました。飲食店や小売店、運輸など有休どころか土日すら休めない、また非正規雇用で有休がない、休めば給料が出ないから休めないという意見を聞くと、ごく当然と思っていることもありがたいことだと感じます。

545倍の倍率

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この情報が発表されたとき、応募者数や倍率が大変なことになると思いましたが、3人の募集に1,635人の応募があり、倍率は545倍になったそうです。社会に出るときに散々苦労したのに、20年近く経ってまた無茶苦茶な競争をさせられるだなんて。

応募者は日本全国からで、神奈川県相模原市からの応募者の言葉が載っていますが、現実問題として宝塚市やその周辺在住者、せめて兵庫県内に住んでいる人でないと難しいと思います。どう考えても、面接で相手を納得させられる志望理由が思いつきません。

「絶対に倒産しない市役所に正規雇用で入って安定したい」― 就職氷河期世代にこうした取り組みをしてくれた宝塚市のために働き、恩返しがしたいとか言う人が多いと思いますが、つまるところ志望理由は安定でしょう。公務員ほど安定した職業はありません。

宝塚市だけでこうした取り組みをやったから応募したのであって、別に宝塚市でなくてもどこだってよいという応募者がほとんどだと思います。545倍を勝ち抜くには、なぜ宝塚市でなければならないかを説明できなければなりませんが、少なくとも私には無理です。

今後、同様のことをやる自治体がいくつか出てくると思いますが、村役場職員1人の募集に1,000人以上の応募など、無茶苦茶なことになるはずです。ここでまた疲弊して結局、引きこもりになる人も出てくるのではないかと思います。

「正規雇用なら何でも」ではない

就職氷河期世代の無職や非正規のうち30万人を今後3年間で正規にすると政府が言っていますが、正規雇用であれば何でもよいわけではないということが今回の宝塚市の件でよく分かったと思います。みんな楽な事務職に就きたいわけです。

政府が想定しているのは小売りや介護、建設、運輸など人手不足の業種ですが、なぜその業種に人が集まらず、宝塚市の職員募集が545倍の倍率になるのか、誰だって分かります。これに対して「正規雇用にしてやるのにわがまま言うな」というのはあまりにも乱暴です。

政府は就職氷河期世代のことを心配しているのではなく、将来的な社会保障費の支え手としてしか考えていません。そこまで馬鹿にされているのですから、無理して就職などせず、生活保護を受ければよいと思います。国に虐げられた就職氷河期世代のささやかな復讐ですし、それをするだけの権利はあるはずです。