電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

ふと心細く

私は仏文学者を目指していました。ゼミでは常にトップで、指導教授にも目をかけてもらい、学部生のときから大学院の講義に参加させてもらっていましたし、そのまま大学に残るのが当然と思っていました。

しかし、大学院入試で失敗しました。修士までは希望すれば試験なしで進める大学がほとんどですが、私の母校の文学部の大学院は他大学からの希望者も多いので、入試があります。

それでも入試など余裕と思っていましたし、教授や先輩院生たちからも合格間違いなしと言われていました。学部4年になったとき、卒業に必要な単位はすでに取得していたため、教授の助手のようなことをやっていました。

大学院入試は早かったため慌てて就職活動を始め、新卒で入社した新聞社の秋採用に何とか引っかかりましたが、大学院入試に失敗後、すぐに切り替えられたわけではなく、約3週間、完全に引きこもっていました。

親が仕事に行くころに寝て、夕方に起き、風呂にも入らず、ひげも剃らず、廃人同然でした。何とか奮起することができましたが、一歩間違えていたらそのままいまも引きこもりだったかもしれません。

私はいま、都内でもオフィス街といわれる場所に通勤し、首輪をぶら下げてPCに向かい、昼になれば定食を食べ、夜遅くまで仕事し、疲れた体を引きずって家に帰ったらバタンキューです。

無言で定食をかき込むサラリーマンの中の1人になっている自分にさっきふと気付き、無性に心細くなりました。別に私は何者でもありませんが、学生時代には想像しなかった大人になっています。

このまま同じ毎日を繰り返していくことを不安に感じつつ、かといって大きな変化は怖いと思ってしまいます。急に涼しくなって秋を感じられるようになり、感傷的になっているのかもしれません。

とりあえず、きょうを乗り切れば3連休です。つべこべ言わずに働け、サラリーマン。