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仕事で書くコラム再び

健康保険組合連合会が一昨日、2018年度決算見込みと、将来の健康保険施策に関する提言を発表したので、これをテーマにコラムを書きました。新しいカテゴリーを作ってみたりして。

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■目前に迫る保険料率30%時代

健康保険組合連合会(健保連)が2018年度決算見込みと、これを踏まえた提言を発表しました。健保連といえば先月、花粉症治療薬におけるOTC類似薬の保険適用からの除外を提言して賛否両論を巻き起こしましたが、今回は75歳以上の後期高齢者の医療機関での窓口負担を現在の原則1割から2割に引き上げることを提言しています。

後期高齢者の多くは年金生活者であり、収入が少ないことによる配慮ですが、1人当たりの給付と負担のバランスを年代別に比較すると、現役世代(健保組合、協会けんぽ、市町村国保)に比べて、後期高齢者では給付が多く、負担が少ないことが分かります。高齢になれば病気やけがのリスクが高くなり、医療機関を受診する機会が増え、現役世代に比べて給付が多くなることは仕方ありませんが、健保連では給付に比べて負担が小さすぎると指摘しています。

この現状について、高齢者はどのように考えているのでしょうか。健保連が2017年度に実施した調査によると、増加する高齢者の医療費の負担方法に対する70歳代の回答が「患者自身の自己負担割合を引き上げる」で27%、「高齢者自身による保険料の負担を増やす」で17%となり、高齢者自身が次世代への付けまわしを望んでいないことが分かります。

団塊の世代が75歳に到達しはじめる2022年から現役世代の高齢者医療の拠出金負担が激増し、医療保険制度全体の財政悪化が進むと見込まれ、健保連では「2022年危機」と呼んでいます。19年度の健保組合の平均保険料率と介護保険料率、年金保険料率の合計は29.0%ですが、22年度には30.1%、25年度には31.0%に達するとの試算が出ています。国民“皆”保険制度は、負担も皆ということを常に念頭に置く必要があります。

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※図もずずずがExcelで作成しております。