電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

ロストジェネレーション

「ロストジェネレーション」とは元々、第一次世界大戦を経験した若者世代のことです。旧来の価値観が全否定されて無くなったり、戦死して文字通り“失われて”しまったりした世代を指します。

ガートルード・スタインという批評家、いまでいうKOL、インフルエンサー的な人物がヘミングウェイに対して言った台詞(You are all a lost generation.)に由来するといわれています。

村上春樹でお馴染みのスコット・フィッツジェラルドや、彼が書いた『グレート・ギャツビー』は、ロストジェネレーションの象徴と呼ばれています。行き場の無い、虚無的な心情を表現した名作です。

迷子、行き場の無い世代

一方、日本ではバブル崩壊後の就職氷河期世代に対して使われています。「ロスト」は“失った”という意味が一般的ですが、“迷子の”“行き場の無い”という意味もあり、こちらの意味に当てはまります。

私自身、2001年に大学を卒業した超就職氷河期世代、ロスジェネのど真ん中です。この問題にはかなり敏感になっていて、ウェブ上でこの問題に触れた記事などは必ず目を通しています。

diamond.jp

昨日、こんな記事が公開されていました。実態とかけ離れたデータを用いた箸にも棒にもかからない記事で、読む価値無しですが、こうして触れただけでも良しとすべきです。

「ロスジェネが大学を卒業したときの大卒求人倍率は1.2~1.4倍程度」と冒頭に書いていて、確かに公表されているデータ上はそうですが、実態は0.4~0.5倍程度といわれています。

100%社会が悪い

このテの記事が出ると「選り好みしなければ就職できた」「自己責任だから仕方ない」という意見がいまだに出ますが、当事者として経験した私は、100%社会が悪いと思っています。

会社説明会に出席して「暑いので上着を脱いでリラックスしていただいて構いません」と言われたのを鵜呑みにして上着を脱いだら「いま脱いだ人はお帰りください」と言われた、という当時の就職活動の様子に関するツイッターが少し前にバズっていました。

私はこれを見たことはありませんが、筆記試験で鉛筆ではなくシャーペンを使っていた学生が退室→不採用になった場面に遭遇したことがあります。「要項に書いてある」と言われればそれまでですが、いまの時代にそれをやる企業があるのかどうか。

ロスジェネの逆襲

ロスジェネ世代が高齢化すると生活保護費30兆円増になるという試算があります。政府はロスジェネ世代の支援に乗り出す方針を示しましたが、不遇の世代に対する申し訳なさでなく、単に将来の社会保障費を抑えたいだけです。

何でここまで馬鹿にされるんだろう…と思います。「いっそのこと、生活保護を受けて国の財政を逼迫させてやれ。それが社会に対する復讐だ」と思うことすらあります。

やられっぱなしだと思ったら大間違い、いつかロスジェネが逆襲するときが必ずくるはずです。その手段がどのようなものであれ、社会がそれを非難することはできないと思うわけです。