人生舐められ世代
厚生労働省を取材することが最近、増えています。先週も社会保障審議会・医療保険部会なるものを取材してきました。厚労省の審議会や検討会は日常生活に密接に関連する内容ばかりなので毎回、興味深く聞いています。
先週のテーマは、健康保険法の一部改正に伴うマイナンバーカードの保険証としての活用などで、そのうちの1つに2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめの報告がありました。
就職氷河期世代
「就職氷河期世代の方々の活躍の場を更に広げるために」― 資料をペラペラとめくっていると、一部で話題になっている資料が目に入りました。就職氷河期世代と呼ばれてしまいました。
就職氷河期世代の支援と急に言い出したことをニュースで見たとき、いまごろ何をするつもりなのかと怒りが込み上げましたが、元資料をきちんと読み込んでさらに怒りマシマシです。
この施策はそもそも、就職氷河期世代を生み出した政府の無策・無能っぷりを反省しているわけでなく、本気で支援しようと思っているわけでもなく、この世代が将来的に生活保護を受けることを防ぐためのものです。
本音は別のところに
つい最近も老後に2,000万円だの3,000万円だの資産が必要というニュースが報じられましたが、非正規だったり無職だったりするこの世代は、国民年金すらきちんと払えていません。
年金を満額もらえても厳しいのに、年金がもらえない or もらえても少額では生活保護を受けるしかありません。政府はツケを後回しにしてきましたが、ようやく尻に火がついたわけです。
こうして出してきたのがコレです。当たり前ですが、三菱商事や三井物産などに入れるようにしてくれるわけなどなく、建設や運輸など人手不足のところに押し込もうというだけです。
補助金をばら撒き、一時的に正社員の数を増やして「ほら、支援してやった」と言いたいだけ。ブラックに押し込んで辞めてしまったとしても、それは本人の自己責任で、そこまで面倒は見られないというわけです。
涙が出そう…
何ていうか、舐められ続けていると感じ、泣きそうになります。就職氷河期世代ではなく、人生舐められ世代と言っても過言ではありません。どれだけ馬鹿にすれば気が済むのか。
私は運良く新卒から正社員として働き続けることができています。しかし、ずっと非正規の友人がいますし、決して他人事ではありません。自分にできることは何なのか、常に考えています。