電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

書籍編集部解体再び

前職の書籍出版事業の廃止と書籍編集部の解体に伴って他の出版社に転職した元同僚が退職することになったそうです。まだ2年ぐらいしか経っていないはずで、メールが届いてびっくりしました。

つい先週、3月下旬に刊行する新刊のカバーデザインをFacebookにアップしていましたし、転職して1本目に制作した書籍が3刷になったことも書き込んでいました。とても順調そうで、羨ましく思っていました。

しかし、内実は外から見えません。書籍の売り上げが悪く、赤字改善と黒字化の見通しがまったく立たないとのことで、書籍の出版をやめることになったそうです。まさかの書籍編集部解体です。

悪夢再び

ただし、この事態、実は予想されたことでもあります。この出版社は長年、雑誌を発行してきたのですが、雑誌の売り上げが急降下していて、苦肉の策の新規事業として単行本に乗り出したわけです。

経営が思わしくない企業が新規事業に乗り出すのは必然ですが、畑違いのことに手を出すのはなかなか難しいものです。そういえば、昔の新聞社が水の販売に手を出して失敗していたっけ。

雑誌を刊行していた出版社が飲食店の経営などできるわけがなく、かといって何もせずにいたらジリ貧なわけで「うーん…せや、単行本を作ったろ!」という発想で立ち上がった書籍編集部でした。

斜陽産業

紙媒体の発行が斜陽産業であると身に染みて分かっているだろうに紙の書籍に頼らざるを得ないのが辛いところです。2年ちょっとで見切りをつけて撤退を決めたことはまだ救いでしょうか。

元同僚はバイク雑誌を発行するチームへの異動を打診されたそうですが、お断りしたそうです。単行本の制作したくて転職したわけですし、バイク雑誌なんて明日にもなくなりそうですし。

先月もバイクブロス社の『ガルル』というバイク雑誌が休刊になりました。休刊といいつつ復活することなどない事実上の廃刊です。編集部の人と名刺交換したことがありましたが、どうしているのやら。

慈善事業

私は本が大好きですし、書店をチェックしながらいまも常に企画を考えています。版元の書籍編集者になりたいと思っていますし、意欲的なタイトルを制作している元同僚が羨ましくありました。

しかし、言うまでもなく現実は厳しく、本を作っても売れません。版元はどこも自転車操業で、取次への納品時に受け取る代金で何とかその日をやりくりしている状態です。

www.wakabkx.com先日まで私のマンションに泊まり込んでいた若者は、私が制作した書籍を見て「おじさん、カッコイイね」と言っていましたが、米国本社からそれも全否定されてしまったわけで。

慈善事業でなくビジネスであるからには儲けなければなりません。しかし、出版で儲かる図がどうしても思い描けません。出版はいずれ、儲けを度外視した金持ちの道楽になってしまうのでしょうか。

出版事業の未来のために何かできることはないか、いつも考えているのですが、なかなかアイディアが思いつかず、とりあえず書店で新刊を買うぐらいしかなく、身悶えしています。

◆メーヤウ食いてぇ!と思いながらつぶやいています → ずずず (@wakabkx) | Twitter