電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

農協職員の転職相談に乗る

従姉妹の子どもの転職相談に乗っていました。

農業高校を卒業後、農協に就職して3年目の男の子です。従姉妹は私の親父のお兄さんの娘、つまり伯父さんの娘です。

私の親父の実家は今どき珍しい横浜市内の専業農家です。従姉妹は、やはり専業農家の近所の幼なじみと結婚し、男の子を2人、産みました。

私に相談してきたのは次男です。実家の農業は兄である長男が継いでいるため、弟である当人は農協に就職したそうです。

彼は普通のサラリーマンになりたいと言っていて、従姉妹と旦那さんは猛反対しています(“普通のサラリーマン”の定義はまた別の機会に)。

しかし、話が平行線なのでサラリーマンだった親父に相談がいき、かといって親父は転職経験がないため、私に話がきたわけです。

話を聞いて、私も反対しました。ただ、転職そのものにではなく、もう明日にでも農協を辞めようとしていることに対してです。

彼は「普通のサラリーマンになりたい」の一点張りで、どういう業界で、どういう職種に就きたいのかはまったく考えていませんでした。

話しているうちに分かったのは、どうやら『東京カレンダー』に出てくるようなサラリーマンになりたいと思っていることです。

tokyo-calendar.jp私が港区の外資系で働いていると分かった瞬間の食いつきっぷりはすさまじく「おじさんの会社に入りたい」と言い出していました。

『東京カレンダー』はネタだと思っているので、ついクスッと笑ってしまったのですが、彼はそれを鼻で笑って馬鹿にされたと感じたようです。

よくよく聞いてみると「高卒の農協職員なんかが転職できるわけない」と両親と兄に言われ、反対されているそうです。

私は彼の経歴でも転職できると思いますし、転職そのものには反対しません。つまらないことを無理して続ける必要はありません。

3年ガマンしたところで何も得られないことはありますし、転職したものの想像と違ったらまた転職すればよいだけです。

ただ、彼はいま、転職そのものが目的になってしまっています。転職は目的でなくより良い人生を送るための手段です。

転職によってどういう毎日を過ごしたいか、どういう自分になっていきたいか、それをまったく考えず、とにかく辞めたいと言っています。

転職2回の私に反対する資格はありませんし、転職したければすればよいと思いますが、いまの状態では私もさすがに反対します。

そのことを丁寧に説明したつもりですが、伝わったかどうかは分かりません。ふてくされ感があったので伝わっていないかも。

何なら勢いで辞めて痛い目に遭ってみるのもよいかもしれません。安定がいかに得難いものか、失って初めて分かることですから。

それにしても『東京カレンダー』を久しぶりに見ましたが、相変わらずツッコミどころ満載、安定の面白さです。

「こんなヤツいねー」「こんなことあるわけねー」を連発してしまいます。編集者として純粋に購読者に興味あります。