電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

嬉しいメール

「ずずずさんに色々とご助言いただいたおかげで正社員になれることになりました」― 前職で一緒に仕事していた派遣社員の男の子から嬉しいメールが届きました。

彼は30代前半で、ブラックな編集プロダクションを一昨年に辞めてから正社員の職を探していたもののなかなか決まらず、仕方なく派遣社員を続けてきたそうです。

キラリと光る派手な能力があったわけではありませんが、単調な作業でも文句を言わずに真面目にコツコツと取り組む忍耐力があります。編集プロダクションで耐えられたのはそのためでしょう。

外資系は入れ替わりが激しいといわれますし、実際にその通りなのですが、前職は出ていく一方でした。募集しても応募がなく、私が辞めるときは2年前の半分以下にまで減っていました。

正社員のアシスタントとして派遣社員を採用しても正社員が次々に辞めていくので、派遣社員をすぐ正社員に転換します。見方によっては良い会社と言えるかもしれません。

私は彼のために正社員のイスを1つ空けてあげようなどと思って辞めたわけではありません。経営層を信頼できなくなったから、編集の仕事をやりたかったから、という完全な自己都合です。

ただ、派遣社員を正社員に転換しているのを見て「もし自分が辞めたら、彼を正社員にするかも」と思ったことは事実です。そして案の定、私が退職願を出してから正社員への話が出たそうです。

きっと給料はものすごく安いでしょうし、私はガマンできなくなったような単調な業務です。しかし、少なくとも派遣社員とは比べものにならないほど生活が安定するはずです。

日本の労働法制は正規雇用と非正規雇用に格段の差を設けています。そのまま会社に残り続けるにしても他に移るにしても、正規雇用のポジションを得ておいて損することはありません。

彼が正社員になれたのはもちろん彼の実力によるものですが、私が辞めたことがきっかけであることは確かです。無駄な時間だとずっと思っていましたが、私があそこにいた意味が少しはあったようでホッとしています。