電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

紙媒体にこだわる

紙媒体の良さの1つに、回し読みや回覧が容易であるということが挙げられます。コピーガードが厳しい電子媒体では難しいことです。回し読みにも限度がありますが、まず多くの人の目に触れることが重要であり、そのためには紙媒体が最適ではないかと思います。

学生時代、仲間同士でお金を出し合い、刊行冊数も少なく高価な論文集を海外から取り寄せ、みんなで貪るように読んだことがありました。「1人一冊ずつ買わないと著者に失礼じゃないか」という意見があるかもしれませんが、1人一冊ずつ買えるほど印刷されていない書籍があります。特に学術書や専門書は売れるかどうか分からないので、版元も自分たちが損をしないギリギリの部数で刊行するものです。その結果、複数人で一冊となるわけです。

いまの会社に転職してから2年強、週刊媒体を1人で担当しています。来週に祝日があるため、次号の進行は1日早く、ふだんは木曜日いっぱいで入稿するところ、水曜日に入稿することになっています。ただ、あすは別件で忙しく、原稿を書く時間が限られるため、きょう書けるところまでひたすら書きました。

「これのおかげでみんなで情報を共有できています」という反応を1回だけ受けたことがあります。2年以上、毎週書いているのに1回しか反応がないのも寂しいことですが、1回でも読み手から反応を得られるのは稀有なことでしょう。

インターネットを介した情報の共有は速度面で絶大な効果がありますし、それが好影響を及ぼしていることは否定しません。ただ、情報の表面しか見ていないことも否めません。高速で広く浅く、一方で時間がかかる上に狭く、でも深く。得る情報の種類によって良し悪しがあります。どちらが良いか一概には言えません。

私は紙媒体を全否定されて転職活動を始め、いまの会社に入ることになりました。思い描いていたものと少しずつ変わってきていますし、とのかく大変ですが、まあ悪くない仕事ができているかと思います。これはとても幸せなことなのかもしれません。