繁華街付近に住む
記者や編集者という仕事をしていると頻繁に図書館のお世話になります。事実関係を調べるためであることはもちろん、新たな書籍の企画を立てるために何となく思い浮かんだことの類書を探しにいくことも多々あります。前職の出版社にいたときは国会図書館で開館から閉館まで過ごすことも珍しくありませんでした。
ただ、新型コロナウイルス感染症の影響によって、図書館も行きづらくなっています。国会図書館は6月の再開以降、いまだに抽選予約制で、行きたいと思ったときにすぐ行くことができません。仕方ないとは思いつつ、やはりいますぐ知りたいから調べに行くのであって、ものすごく不便です。
しかし、どうしても調べに行かないといけないときに役立つのが地元自治体の図書館です。日本の発行物のすべてを所蔵している国会図書館にはさすがに劣りますが、徒歩圏内にある横浜市立中央図書館の蔵書も相当のものです。久しぶりに天気が良かったので、散歩がてら出かけてきました。
横浜市立中央図書館もついこの前まではかなり制限して運営していましたが、いまはほぼ以前通りに戻りました。行きたいときに図書館に行けるというのは当たり前のことでしたが、これが当たり前のことではなくなってみると、いかにありがたいことか実感します。来年のいまごろはごく普通に図書館に行けるようになっていればよいのですが。
ところで、横浜市の中央図書館というからには中心地付近(=繁華街)にあり、そこまで徒歩圏内という私のマンションも繁華街付近にあります。私の実家は最寄り駅からバスで約15分、さらに降車するバス停から歩いて約10分のところにあります。就職するまで実家にいたのですが、大学に通うのが本当に大変でした。
就職が決まってから真っ先にしたのが、駅から徒歩10分以内の物件を探すことでした。バスは時間が読めないので絶対に使いたくなく、自転車もできれば使いたくありませんでした。そうなると必然的に繁華街からそう遠くない場所になるわけで、セキュリティが少し不安でしたが、住んでみると意外に普通でした。
これまで2回の引っ越しを経て徐々に繁華街に近づき、いまは最も繁華街に近いところにいます。周囲は静かな住宅街ですが、少し歩くと神奈川県最大の風俗街に出くわします。女遊びに夢中になって親の死に目に会えなかった男が続出したということで通称「親不孝通り」と呼ばれる道を通って図書館に行き、帰ってきました。平日昼間にも関わらず客とおぼしき男が何人も出入りしており、ここだけは早くも普通の日常に戻っていると実感します。