電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

たかが市議選、されど市議選

私の幼なじみは神奈川県某市の市議をやっています。もう4期目だったか、大学卒業後、地元の有力国会議員の私設秘書として、良く言えば経験を積み、悪くいえば酸いも甘いも噛み分けて、いまや市議会議長となり、次は県議選に出ようかと目論むほどの存在になっています。

彼が初めて市議選に出たとき、選挙参謀の1人として協力しました。私は選挙のいろはなど何も分かりませんでしたが、地元紙の記者としての客観的な意見がほしいと言われ、幼稚園からの付き合いの幼なじみの一世一代の勝負ということで参加しました。この結果、かなり面白いものを見られました。

正直言って、舐めていました。横浜市や川崎市のような政令市でもない、地方都市の市議選ですから、予定調和で終わると思っていましたし、ましてや国政に影響を及ぼすなど考えもしませんでした。政権与党か、それに準ずる政党に所属していれば、それだけで簡単に当選すると思っていました。

しかし、実際は頼んでもいないピザが30人分届いたり、怪文書がばら撒かれたりなんていうことは日常茶飯事、テレビに出ているほどの地元選出の国会議員がその辺の道端で、声が枯れるまで演説することも何度もありました。政党名と組織票で簡単に当選できるほど甘くないわけです。「自分の選挙でもないのになぜ?」と思ったものですが、国会議員にとって、自身の選挙区の県議や市議はとても大切な存在です。

国政選挙になったとき、候補者本人は積極的に動きますが、1人では限界があります。そのようなとき、後援会に加え、地元県議や市議、要は子分が動くわけです。超大物国会議員ともなれば、自身の選挙区に入ることなどなく、地盤が弱い候補者の応援に行きっぱなしということがほとんどです。そういうときに、地元の子分どもが活躍するわけです。

つまり、地元の市区町村議選が国政にも大きな影響を与えるわけです。実際、私の幼なじみも、親分である国会議員の選挙の際は、自身の選挙以上に足を使い、声を張り上げ、活動していました。たかが市議選、されど市議選、地元の小さな選挙といえども、蟻の一穴のように、影響を与えることができます。

横浜市の直近の市議選は2019年4月でした。私が住む横浜市南区でトップ当選したのは自民党議員でした。私のマンションのすぐ近くに事務所があり、氏神様の境内で縁日のようなイベントをよくやっていて、直接話したこともあり、彼に投票しました。そして、彼の親分である国会議員は、次期総理大臣候補と言われている自民党の管氏です。

横浜市南区は神奈川2区であり、管氏の選挙区ですが、私自身は管氏を1度も見たことがありません。子分の県議や市議、後援会が駅前でビラを配っていたところを見た程度です。しかし、その中に、私が投票した横浜市議の後援会スタッフもいたことを知りました。

つまり、巡り巡って、私の横浜市議選への1票が次期総理大臣につながったと言えなくもありません。自民党総裁選について取材していたNHKのインタビューに私が入れた横浜市議が応えていて(知ってはいたけど)管氏の子分だったのね…と実感しました。

気が早いメディアが先日、私の地元で新総理大臣に関するインタビューをしていたようですが、地元選挙区選出の議員が総理大臣になるというのはやはり嬉しいという意見が多く見られました。別に地元に何のメリットもないわけですが、何となく聞こえが良いのでしょうか。

私は総理大臣に投票したつもりなどまったくありませんが、結果として総理大臣の選出につながっていたようです。昨年の横浜市議選の投票時には考えもしませんでしたが、どこでどうつながるか分かりません。たかが市議選、されど市議選。難しいものです。

それにしても、本当に管氏が総理大臣になるのでしょううか。