電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

終活の一環

古い物や昔の物に価値がある、分かりやすいものでいえば美術品ですし、自動車は過去の名車と呼ばれたり、デニムはビンテージと呼ばれたりしますが、楽器や機材もビンテージと呼ばれて高価格で取引されるものがあります。

ベースであれば原則として材料が木なので年を経るごとに音に深みが出たりしますし、エフェクターという音を変える機械でも生産中止になって入手できなくなったりし、中古楽器サイトなどで目が飛び出るような価格で販売されているものもあります。

私も何か掘り出し物があればゲットしようと、中古楽器サイトやヤフオク、最近ではメルカリなんかをしょっちゅう見ているのですが、個人売買がとても簡単になったせいか、去年あたりから目につく出品や投稿があります。

「終活の一環で」というものです。

「若いころにミュージシャンを目指していましたが、いまは飾りになってしまい、周囲では誰も楽器を弾かないので、終活の一環で大切にしてくださる方にお譲りしたいと思いました」といった出品が目立ち、何だか切なくなってきます。

また、買ったときは新品でそれほどでもなかったはずですが、自動的にビンテージになり、しかも段々とプレミアがつき、中古楽器屋では鍵付きガラスケースに入って100万円以上するものもあります。きちんとしたオークションに出品しても遜色なかったり。

ヤフオクで見つけたものも「あの名機がこんなに良い状態で残ってたんですか!」というぐらいで、大切に扱っていたことが写真からでもよく分かるだけに「終活の一環で」と言われるとおいそれと入札するのもためらわれます。

私が知らなかっただけで、他のジャンルでは終活の一環としての出品がすでにあるのかもしれませんし、そもそもそういう説明書きはなくとも終活の一環で出品している方もいるかもしれません。いまや当たり前なのかも。

70歳や80歳を超えてもPCやスマホを使いこなす方はたくさんいます。終活も電子の時代です。