電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

同一労働同一賃金を阻む「情」というもの

私の部署には契約社員や派遣社員といった非正規スタッフがいませんが、総務や人事、経理などバックオフィスは非正規スタッフがたくさんいるようで、お昼になると休憩スペースで皆さん一斉にお弁当を食べています。きょう、近くを通りかかったとき、同一労働同一賃金の話をしている声が耳に入りました。

同一労働同一賃金とは読んで字の如く、正社員だろうが非正規スタッフだろうが、同じことをやっているのであれば同じ給料を払うというものです。当たり前といえば当たり前、先日も書きましたが、優秀な非正規スタッフはたくさんいますし、そういった非正規スタッフ無しに業務が回らない会社は多いはずです。

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ただ、日系企業にそれができるのか疑問です。金の問題もありますが、正社員と非正規スタッフの仕事内容が同じ or 違うことを明確に証明できるか、違うのであればどう違うのかをきちんと説明できるか、それができないのではないかと思っています。

就職と就社

このテの話になると必ず海外の例が出てきますし、実際に海外は同一労働同一賃金が当たり前ですが、それはそもそもの部分に「就職」という概念が確立されているからです。やるべきことが明確にされていて、給料は職務に対して払うのが基本ですから、そこに正社員か非正規スタッフかの差が入る余地はありません。

一方、日系企業の場合は「就社」です。営業から総務まで各部署を回り、ときには地方に赴任し、会社全体のことを知っていきます。賃金を職務ごとに決めるという概念はなく、年齢だったり社歴だったり、そういう曖昧なもので判断します。能力が低くても、会社に忠誠心を示すポチのほうが大切にされるわけです。

年齢や社歴で評価するのは簡単です。1人ひとりの仕事ぶりや人となりを見続けて評価するのは難しく、ときには恨みを買うこともありますが、年齢や社歴だとその基準に達すれば自動的に上がるわけで、評価する側・される側ともに頭を使わず楽々です。

「情」に左右される

日系企業の良いところでもあり悪いところでもあることに「情」があります。優秀でない社員でも大切な仲間として考えてほどほどに評価するのはとても良いことだと思いますが、それが周囲の優秀な社員のやる気を削ぐことにもつながります。ときに甘く、ときに厳しく、適正な評価が求められます。

人が人を評価するわけですから、誰にとっても納得のいく結果などあり得ませんが、できる限り多くの人が納得できるような評価をしなければなりません。そして、日系企業はそれができない。ただ、これで救われる人もたくさんいるはずですので、導入後にも意見を述べ続けていくことが大切なのだろうと思います。