若者の特権
私が大学に入るとき、入学式に両親と一緒に来ている新入生を見て「大学までパパやママと一緒ですか!」と驚いたものですが、いまになってみればその気持ちが分かります。
就職による1人暮らしと進学によるそれは意味合いが異なります。就職であれば社会人としての独り立ちですが、進学ではまだ独立したわけでなく、両親にとって子どものままでしょう。
富山の中でも特に田舎の地域で18年間を過ごし、両親にしてみればまだまだ子どもなのに、自分たちから離れて都会で暮らすなど、心配でたまらないはずです。
先月まで私のマンションに泊まり込み、横浜国立大学に入ることになった従姉妹の子どもが、きょうの夕方、富山から出てきます。母親(=従姉妹)も入学式に出るそうで一緒に来ます。
2度と帰らない
「お前はもう2度と富山に帰らないだろうから、そこで育ったことをしっかり覚えてこい」― 横浜国大に合格し、こちらに出てくることが決まったときに言いました。
長期休暇で数日、帰省することはもちろんあるでしょう。ただ、就職もこちらで決めるでしょうし、生活の拠点はこちらになり、富山で過ごした18年間をあっと言う間に超えます。
ふと気付くころ、生まれ育った故郷は帰る場所でなくわざわざ行く場所になっているはずです。こちらでの大学4年間はそれぐらい価値観を激変させるものになると思います。
奴はまだ18歳です。これから何にでもなれる無限の可能性を秘めています。いまのところ数か月の予定ですが、若者が悩み、苦しむ姿を間近で楽しんで眺めたいと思っています。
悩み、苦しむことができるのも若者の特権ですから。