電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

裏切られ続ける就職氷河期世代

理由はないもののなぜかきょうは金曜日と思い込んでいて、京急に揺られている途中で木曜日だったことに気付いて凹みながら出社していたら「ずずずじゃね?」とオフィス近くで声をかけられました。

新聞記者時代の元同僚でした。オフィス周辺ではきょう、複数の有名IT企業の株主総会が開かれるそうで、その取材に来たそうです。なお、彼も転職して、いまは某経済誌の記者をやっています。

元・引きこもり

彼は私と同い年、つまり超就職氷河期世代です。新卒時の就職活動に失敗し、卒業後に2年間、引きこもっていたそうです。親戚の会社の事務を週1回だけ手伝っていたそうですが、引きこもりだったと自分で言っていました。

彼は決して働きたくなかったわけでなく、両親に対して申し訳なく感じながらずっと働きたいと思っていたそうです。しかし、新卒時の失敗を思い出してしまい、どうしても動けなかったそうです。

それが変わったのは、中学生のころから飼っていた愛犬が死んだからだそうです。何か吹っ切れてハローワークに行き、数日後にはある業界新聞の記者として採用が決まったそうです。

すごい奴がいる

彼が移ってきたのはその5年後、私は7年目になっていましたが「業界紙なのに○○にすごい奴がいる」という噂を小耳に挟んでいました。元々が優秀なので、外に出られれば成果を上げられるわけです。

私がいた新聞社に移ってからも彼は抜群でした。引きこもりだったことなど想像すらできず、当時はボサボサの髪と無精ひげだったと言われても信じられないぐらい、スーツとネクタイが似合う記者でした。

いまさら遅いけど

彼と数年ぶりに会った日にこんなニュースを目にするのは何かの因縁でしょうか。「いまさらもう遅い」という諦めと「ようやく事の重大性に気付いてくれたか」という喜びがせめぎあっています。

www3.nhk.or.jp介護や建設、小売りなど人材が不足している業界に補助金をばらまいて無理やり採用させ、一瞬だけ就職率を上げる見せかけの政策にきっとなるだろうと思います。5年後のことすら考えていないはずです。

就職氷河期世代は生まれてからずっと社会に裏切られてきました。期待しても無駄、期待したらその反動が大きいので何も期待しません。政府の今回の方針もどうせ口だけだと思っています。

期待もしたい

ただ、それでもほんの少しだけ期待してしまう自分もいます。彼のように自分から動き出すことができた例は稀で、能力があるのに非正規雇用や引きこもりで苦しんでいる同世代がたくさんいるはずです。

全員を救済するのは無理でしょう。本人にも希望があるはずで、それを無視して「支援してやるからとにかく働け」というのは乱暴です。しかし、ごく一部は救われるかもしれません。何もやらないよりはよっぽどよいです。

遅いと文句を言うのは簡単です。ただ、それでは何の進展もないので、とりあえずほんの少しだけ期待しています。