電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

“はんれい”と“ぼんれい”

新聞記者、書籍編集者と言葉を扱う仕事を続けてきたせいか、誤脱字はもちろん表記の統一や形容詞などのかかり方、漢字の読み違いなど、言葉に関するさまざまなことが気になります。

特に新聞記者時代はデスクにしごかれました。新聞記事に間違いは許されません。意味を取り違える可能性がほんの少しでもある書き方は徹底的につぶされました。

ものすごく簡単な例を挙げます。

1 日本の美しい風景
2 美しい日本の風景

風景が美しいことを伝えたいのです。1 は美しいのが“風景”であるとすぐに分かりますが、2 は美しいのが“日本”か“風景”のどちらか迷う人がいるはずです。

“美しい日本”という言い方はあまりしませんが、それこそ“神の国”に相通ずるものがあり、保守的思想ととらえて批判する人がいるかもしれません。

「そんな揚げ足取りみたいな」と思われるかもしれませんが、このようなクレームは新聞社で珍しいものではありません。私も何度も受けました。

言葉を扱う仕事でなくとも、例えば契約書で意味を取り違える可能性がある書き方をしてしまうと大損害を被るかもしれないので注意すべきです。

いつも拝見しているブログで「“凡例”を“ぼんれい”と思い込んでいて恥ずかしかった」というエントリーがありました(正確には“はんれい”)。

まったくの偶然ですが、ちょうど昨日、オフィスで似たようなやり取りがありました。私は“凡例”を“ぼんれい”と言っています。なお、正しい読みが“はんれい”であることを理解した上で、です。

凡例とは、その書籍の編集方針や読み方などを記載したもので、本文が始まる前に配置します。私は略語に関する注意書きとしてよく利用します。

例えば「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」を毎回書くと長くなるので「本文中において“独禁法”または“独禁”という略語を用いる」といった具合です。

法律に関する書籍を制作する際、裁判例のことである“判例”を多く載せます。これは“はんれい”としか読めないので、区別するためにあえて“凡例”を“ぼんれい”と読むわけです。

弁護士や検察官、裁判官はもちろん、法律に接する機会が多い公務員、民間企業の法務部員でも“ぼんれい”と読む人が少なくありません。“はんれい”といえば裁判例を指すからです。

ITサポートに入った本が大好きな新人さん、同僚と私の会話の中で“ぼんれい”と言っていたのを聞いていたようで「“はんれい”って読むんですよね?」と質問してきました。

そこで上記の説明をしたところ納得してくれたのですが「編集の方なのに恥ずかしい間違いだなと思っていました!」とのことでした。正直なのは良いことです。

ふと思ったのですが、外で食事しながらとか電車で移動しながらとか、同僚も私もよく“ぼんれい”と言っています。いつものことなので何も気にしていませんでした。

しかし「本当は“はんれい”なのにバカな人たちだな」と思われていたかもしれないことに同僚と2人で気づいてしまいました。

ち、違う、そうじゃない!

www.youtube.com私は“北北西”を“きたきたにし”と読みません、あしからず。