電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

好きになった女の子

スーパーを出たら、そこにふみちゃんがいました。

ふみちゃんは常にスマホを見ているので、私の顔は見られていないと思います。慌ててエントランスに入ったので、後ろ姿を見られたかもしれませんが。

午後7時を過ぎるとオフィス1階に入るスーパーでサンドイッチやおにぎりに50%オフのシールが貼られます。お腹が空いたのでそれを目当てに行きました。

ただ、きょうは20%オフのシールしか貼られておらず、買うのをやめました。夜食を買って長々と残業するより、ガマンしてさっさと終わらせて帰ろう、と。

疲れていました。以前はこの時間によく帰りもふみちゃんと一緒になっていたことを忘れていました。何も考えずにスーパーを出ました。

以前であれば、ダッシュでデスクに戻って片付けて、帰りの電車もふみちゃんと一緒になるようにしていたはずです。

しかし、いまは何とかふみちゃんと一緒にならないよう、わざわざ30分近く遅らせてからオフィスを出ます。絶対にふみちゃんと会わないと分かっているので、皮肉にも正面エントランスから出られます。

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自宅の最寄り駅からの帰り道、川風を浴びながらゆっくりとタバコをふかします。曇っているせいか、空が不思議な色になりました。

自宅に着き、手を洗おうと洗面台に立って鏡を見て、われながら何てブサイクなんだろうとしみじみ思いました。きょうも1日がんばって生きた誇るべき顔であるはずですが。

こんなブサイクなのに何でふみちゃんのようなキラキラ女子を好きになってしまったのか。仕事中は常に理性的であるのに、何でここまで感情に踊らされているのか。

仕方ありません、好きなのですから。私がふみちゃんを好きであることに理由などないのです。