電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

女性の勘

「もしかして女の子でも見てるんじゃないですか」

ドキッ!

私の天敵であるカスタマーサポートの女性に指摘されました。彼女は契約社員であるため、いつも定時の午前9時30分ちょうどに出社しています。

ふだん彼女が出社するころにはデスクに戻っているのですが、ここ数日、少し早めに出社していたそうで、午前9時15分すぎに私がコーヒースペースにいるのを見ていたそうです。

横浜や都内は今朝、雨が降っていたため、京急は途中駅の混雑で遅れると思っていましたし、案の定、数分の遅れで動いていたようです。

ふみちゃんはいつもの時間にいないかもしれないと思いつつ、それでもついコーヒースペースに足が向いてしまいます。そして、電車は遅れなかったようで、いつもの時間にふみちゃんがいました。

ふみちゃんの髪は少しくせがあるようで、湿度のせいでまとまっていないと感じているのか、何度か髪を直していました。そのままでも十分かわいいのに。

私のオフィス前を通り過ぎていくふみちゃんの後ろ姿を見送り、デスクに戻ろうとしたところ、私の後ろに立ってニヤニヤしているカスタマーサポートの女性に気づいたわけです。

女性は感覚的にそういうのが分かるのでしょうか。男の同僚は誰もそんなことを言いませんし、そもそも私がいつもそこにいることすら気づいていないのに、恐るべし。

朝の電車の時間を変えてからずいぶんと時間が経ちました。ふみちゃんは私のことなどすっかり忘れているでしょう。そもそも眼中に入っていなかったわけですし。

私の想いはまったく変わっていません。頭の中はいつもふみちゃんのことばかりですし、ほかの女性に目がいくことなどありません。

しかし、こればかりはいくら強く願っても決して叶うことがありません。努力で何とかなるならいくらでも努力しますが、感情は何ともなりません。

私にできることは毎朝、遠くから眺めることと、近所の神社でふみちゃんの幸せをお願いすることぐらいです。仕方ありません、ブサイクですから。

「最近流行りのドラマみたいに“あなたのことはそれほど”なんて言われないようにがんばってくださいね」。

そろそろカスタマーサポートのマネージャーに苦情を入れようか。しかし、パワハラなどと言われて返り討ちにあいそうな気がするし。君子危うきに近寄らず。