電車の中の恋人

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古き良き日本企業の社員は家族的な考え方

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このエントリーで先日書いた三共生興という一部上場の老舗の繊維商社の早期退職で、30名募集のところ28名の応募があったそうです。社員数は子会社と合わせて約300名のようなので、1割が8月31日で会社を去ることになるわけです。

私はもう新聞記者ではなく、これについて取材したり、それこそ先輩に話を聞いたりなどしていないので、応募者がどういう内訳で、社内がいまどのような雰囲気になっているかなど知りません。ただ、典型的な失敗例になるような気がしています。

老舗企業が早期退職者を募集する場合、会社として辞めてほしいのは50歳以上です。バブル時代に入社して特に仕事をしないくせに年功序列型賃金で給料は高く、転職できないことなど自分がいちばんよく分かっているから会社に必死にしがみつき、そのせいで下が上にいけず、下のやる気を失わせる存在です。

ただ、今回の対象は40歳以上でした。40代は気力・体力ともに充実し、これから会社を支えていく世代です。また、42~45歳は超就職氷河期世代で、新卒から一定規模の企業の正社員としてそれなりの経験を積み、管理職としての資質を備えた人材が不足している年代です。逆を言えば、引く手あまたなわけです。

応募した28名の内訳は分かりませんが、40代前半が多いような気がしています。まだ転職できますし、欲している企業もあります。私の先輩ではありませんが、早期退職で去る(と思っていた)50代の後に据えるつもりだった人材が応募したのではないでしょうか。

また、それを見た20代や30代のさらに次を担う世代に会社に対する不信感が芽生えたはずです。彼らは40代よりも転職しやすく、転職に対する抵抗もなく、今回去る仲間を見て「うちの会社ヤバい。次は自分かも」と思い、転職活動に動くでしょう。

そうして気付いたら50代はいままでと変わらず、20~30代は生え抜きが辞めて中途が入り、彼らは1つの会社に愛着がないのでコロコロ変わり、その間の40代はいないという事態になるはずです。正社員を簡単に解雇できない弊害とはいえ、苦しい早期退職者募集になったのではないかと推測しています。

こういったことを抜きにしても、300名ぐらいの会社であれば、社内の結構な人の顔と名前、大まかな職種や成果などを知っているはずです。理由は何であれ、知っている人が辞めるというのは、なかなか考えさせられるものです。しかも、それが経営悪化による早期退職者募集に応募したとなればなおさらです。

私は、古き良き日本企業の、社員は家族的な考え方は嫌いではなく、殺伐とした外資を見ていると、むしろとても良い考え方だと思っています。しかし、これからはいわゆるグローバルスタンダードが日本企業にも適用されていくのでしょう。私が最も嫌う横文字のカタカナですが。