電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

仕事にやり甲斐を求めるな

前の会社を辞めたのは、担当業務にやり甲斐をまったく感じられなかったからです。書籍出版事業の突然の廃止と書籍編集部の解体、クビ宣告を経て異動しましたが、ガマンすることがどうしてもできませんでした。

異動後の担当業務は、何の専門知識もいらないデータ入力でした。実際、異動前は派遣スタッフの方々が担当していた業務です。書籍の制作を通して身につけた専門知識がまったく活かせない、私でなくてもよい仕事でした。

何も考えず、マシンのようにひたすらデータを入力するだけで、外注先の作業による待ち時間がありましたが、私がやるべきことは3~4時間ぐらいで終わってしまうような内容でした。それでいて給料は書籍編集部のときと同じという。

仕事が減って給料は減らず

書籍編集部のときは常に仕事のことで頭がいっぱいでしたし、土日にゲラをチェックするのはもちろん、校了直前は徹夜も珍しくありませんでした。異動後は業務量も稼働時間も減り、職務も単純になり、それでいて給料が変わらないというのは本来、喜ぶべきことでしょう。

実際、雑誌編集部の同僚に話したら「えーっ、羨ましい。替わって」と言われました。仕事が楽になって、それでいて大変だったときと同じ給料がもらえるのであれば誰でもそう言うはずですし、当初は私もそう思いました。

しかし、仕事を単に金を稼ぐ手段と割り切ることがどうしてもできませんでした。それなりにサラリーマン経験を積み、仕事に対して夢や希望などありませんし、金を稼ぐことの大変さは身に染みて分かっています。

そのまま何も考えずにデータ入力していれば、いまも楽な思いをしながら毎月そこそこの給料をもらっていたはずです。それが叶わない人のほうが圧倒的に多いわけですから、私はものすごく贅沢なことを言っているのでしょう。

それでもワガママを通し、転職しました。業務量は増え、職務は頭を常にフル回転させる難解なものになりましたが、好きなことだったので苦と感じることはありません。イラッとすることはあっても、やり甲斐を感じています。

転職しても同じ

ただ、私が入ったのはちょうど過渡期で、転職から半年後にボスが替わり、部の方針と私の業務が大きく変わりつつあります。入社から私に任されてきた業務はいわゆるオワコンで、これから撤退の方向になるようです。

原稿執筆や編集というスキルの活かし方が変わるだけで、本質的な部分は変わりませんし、もちろんクビになるようなことはありません。雇用は確保されますが、どうやらこれから敗戦処理をしなければならないようで、やり甲斐を感じることはできないようです。

どこに行っても同じ ― 3社を経験し、つくづくこう思います。いまの会社より多い給料を払ってくれるところはないと思うので、辞めるつもりなどありませんが、転職して1年2か月にしては動きが速すぎると思うわけです。

最終的には起業しかないのかな。