「大半」っていくつ?
記者は毎日のように行政文書に目を通します。
検討会の報告書などそれ自体がニュースになるものもありますし、世間の事象のすべては行政が作ったルールが根幹にあるので、それを理解する際の知識を得るためにも読み込む必要があります。
ただ、行政文書はとにかく分かりにくく書かれています。国レベルになると分かりにくさは天下一品で、いかに曖昧に書くかが出世の条件なのではないかと思ってしまうほどです。
さすが公務員
厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の資料を読んでいました。人口の減少や少子高齢化で医療機関の役割が変わりつつあるため、今後の公立・公的医療機関の在り方を検討する集まりです。
どこの自治体も財政が逼迫しています。公立・公的医療機関をといえども、代わりにやってくれる民間があるならそちらに代替、それほど需要がないのにたくさんあるなら再編統合が必要です。
代替できる可能性があるのはどこか、再編統合すべきなのはどこか。それを判断する基準として17項目を設定し、それにどれだけ該当するかで決めようとしているのですが、なかなか面白い書き方になっています。
1項目 or 大半
1項目以上当てはまったら、代替できる可能性があると書かれています。問題は再編統合すべきと判断するための該当項目数です。原文は次のように書かれています。
「他の医療機関による役割代替可能性がある公立・公的医療機関等」のうち、大半の分析項目について「代替可能性がある」と分析された公立・的医療機関等については、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」と位置づける。
…大半?
大半っていくつ?17の半分の8以上?10以上とかじゃなくて?
17項目の大半とはいくつだと思われるでしょうか。私は何となく半分かと思いましたが、5項目以上という人もいるでしょうし、16項目以上という人もいるかもしれません。
例えば、民間で新規ビジネスを始めるときの判断基準として17項目を設定し、5項目以上で儲けが出るとされている中で8項目当てはまっていると説明されたら株主も納得すると思います。
しかし「大半が当てはまったからやります」と言われて株主は納得するのかどうか。具体的な数字を言わないので、2項目しか当てはまっていない可能性もあるわけです。
神様仏様公務員様
やはりルールを作る側は最強です。民間で働く下々の者はすべて言われなくとも公務員様のお考えを読み取らなくてはいけません。そこで読み間違えて怒られても仕方ないのです。
ちなみに下記の元資料があります。「大半」が書かれているのは資料3ですので、興味がある人はぜひ。