電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

2人で並んで

日本の鉄道システムは高度かつ精密です。

地方から東京に来た学生時代の友人は一様にJR山手線に驚いたそうです。先の電車が発車した瞬間に次の電車が入ってくる様子は、私もいまだに驚くほどです。

しかし、過密なダイヤは些細なことで崩れます。例えば、雨が降った日、濡れた傘を持った人が他の乗客に触れないよう気をつけることで、降車が数秒遅れます。

それが横浜から都内までの間に積もり積もって5~10分の遅れにつながります。私が乗っていた電車も品川駅を発車する時点で5分遅れでした。

ふみちゃんが出勤するころにはもっと遅れていると思いました。こうなるとふみちゃんが何時ごろに私のオフィスの前を通るか分かりません。

ただ、すっかり習慣になってしまい、午前9時15分過ぎになるとコーヒースペースに足が自然に向かってしまいます。会えてもつらくなるだけと分かっているにもかかわらず、です。

案の定、いつもの電車に乗っていれば現れるであろう時間になってもふみちゃんは現れませんでした。しかし、諦めてデスクに戻ろうと思った瞬間、ふみちゃんが姿を見せました。

今朝は同僚がおらず、ふみちゃん1人でした。こういうときに2人で並んでおしゃべりしながら出社できたら、と想像したことは数えきれません。

「今朝もかわいいな…」と信号待ちをしているふみちゃんに目が釘付けになっているところで、ふみちゃんが男に声をかけました。たぶん、同じ職場の人で挨拶したのでしょう。

信号が変わり、2人が歩き始めました。私のオフィス前からふみちゃんが働いているであろうと思われるビルまで3~4分、一緒に出社することになります。

もし、ふみちゃんと職場が同じだったら、私にもこんな機会があったのかもしれませんが、そんなことはもちろんなく、今後も絶対にありません。ふみちゃんの後ろ姿を見送りながら凹みました。

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相田みつを先生は「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」と仰っていますが、人生つまづきっぱなしの私はいったいどうすればよいのか。