さすがイケメン君
「ホワイトデーでお金がないんですよ」― 久しぶりにイケメン君とタバコ場で一緒になりました。カスタマーサポートも欠員が出て忙しいようです。
私には嬉しい悲鳴にしか聞こえないのですが、当事者にとってはさぞかし大変なことなのでしょう。しかも、イケメン君は3人も彼女がいますし。3人にお返しはさすがにきつかろう。
イケメン君は何と本命の彼女と結婚を考えているそうです。彼女が今年で30歳になるそうで、けじめをつけなければと思っているとのこと。しっかりしているのかチャラいのかよく分かりません。
そして、そのためにも何とか正社員の職を見つけたいそうです。最近は正社員でも安定していると言えなくなりつつありますが、それでも派遣社員よりはまだ安定しています。
また、収入面でも大きな差があります。イケメン君の時給を聞いたのですが、結構なピンハネ率でした。弊社から派遣会社へは悪くない金額を払っているのですが。
このまま弊社にいても残念ながら正社員の芽はありません。米国本社から経費削減を強く言われているため、以前はあった契約社員への道も閉ざされてしまいました。
私にできることは履歴書や職務経歴書のアドバイスぐらいです。イケメン君なりに考えていることを知り、ほんの少しだけ応援してあげようと思いました。
しかし、タバコを吸い終わってデスクに戻ろうとしたとき、イケメン君が口を滑らせました。
「2番目の彼女はバリバリ働いていて“私が稼ぐからあなたは何もしなくていい。ずっと一緒にいてほしい”って言うもんで少し悩むんですよね」
ぴきっ(怒)
一瞬でも応援してあげようと思ったことを後悔しました。何も考えずにこういうことを口に出せるのが彼のすごいところです。それにしても、やはり男は顔ですか。