報われる仕事
「ご尽力によりまして、大変満足のいく内容となり、感激しております。本書の制作にあたり、様々な要望を叶えて頂き、著者を代表いたしまして感謝申し上げます」
これだよ、これ。このひと言があるから編集者は楽しいんだよ。
「すべて統一したのに何でいまごろ赤字を入れるのか」「簡単に言うけどそれがどれだけ大変か何で分かってくれないのか」など、予算や時間に追われながらの書籍の制作にはストレスがいっぱいです。
これは書籍の制作に限らず、どの仕事でも言えることです。プレッシャーやストレスがない仕事などありません。ストレスの質に違いはあれど、仕事とはとても大変なものです。
ただ、業種によって苦労が報われる仕事と報われない仕事があるのは事実です。また、報われる仕事の中でも何をもって報われたとするかにはさまざまな考え方があります。金かやりがいか、社内評価か。
編集者という仕事は苦労が報われる仕事だと思います。正直言って金は儲かりませんが、苦労して編集したものが手に取れる形になることや、著者に感謝されることは、とても大きな喜びをもたらしてくれます。
以前「記者は人に嫌われる仕事、編集者は人に感謝される仕事」と書きました。
ニュースというものは誰も知らないからこそ注目を集めるもので、誰にも知られていないということはそれを隠したいと思っている人がいるわけで、それを無理やり表に出すから記者は嫌われます。
一方、編集者は、著者が形にしたいと思ったことをサポートして、手に取れる形にします。さらに、それによって新たな知識や考え方を身につける読者がいます。
もちろん、つまらない書籍を世に出してしまい「買って損した」と編集者に文句を言いたいこともあるでしょうし、報道したことによって真実を知ることができた人々は記者に感謝することもあるでしょう。
ただ、編集者は人に感謝されることが多いと思っています。少なくとも新聞記者時代よりは感謝されることが多くなりました。感謝されることは単純に嬉しいものです。
昨日、私の手元に届いた見本、今日は著者の手元にも届き、冒頭のメールをいただきました。今回の書籍は7人の著者による共著であるため、感謝&嬉しさも7倍です。良かった…。
読んでみたいという方はぜひ、問い合わせフォームからご連絡ください。ボツになった幻の縦組みレイアウト見本など、本書をより一層、興味深く読めるオプションをプレゼントします。
ふみちゃんから連絡こないかな、と妄想してみたりして。ふみちゃんにも読んでもらい、コーヒーでも飲みながら感想を聞いてみたいと妄想したこともありましたが、それは叶わぬ夢です。
さて、無事に納品されたことはひと安心なのですが、問題は来月の出版記念パーティーでのあいさつです。「盛り上がっているところだと思いますので、ぜひぐっとくるあいさつをお願いします」と言われています。
ハードル上げやがって…。
誕生日の朝に突然、解雇通告を受けるという天性の芸人体質であるため、笑いを起こしつつ、編集者としての熱意を語り、感動の涙を引き出してくるつもりであります。