電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

9時15分の男

「9時15分過ぎになるとコーヒースペースにいる人」― 他の部署のスタッフからこのように認識されてしまったようです。

チームメンバーにいたっては私がせっせと仕事していると「9時15分になったけど?」と声をかけてくるほど、私の習慣を面白がっています。

ただし、なぜその時間になると私がコーヒースペースに行くのかは知りません。午前8時30分から作業を続けているとちょうど集中力が切れるころだからと思われているようです。

ふみちゃんを眺めているだなんてバレたら会社にいられねぇ…。

ふみちゃんはすっかり春らしい服装になっていました。私のオフィス前で信号が変わるのを待っているとき、目の前を大型車が通過したので髪が少し乱れました。

それを直す仕草に妙にドキドキしました。少し茶色でツヤツヤしたボブが小柄なふみちゃんにとても似合っています。隣で眺めることができればどれだけ幸せなことか。

それにしても、いつも一緒にいたふみちゃんの同僚のうち1人を3月中旬からまったく見かけなくなりました。異動したのか、退職したのか、いずれにしても何らかの変化があったのでしょう。

かわいらしい女性だったので、彼女に対して電恋していた男がいたのではないかと思います。見かけなくなってから間もなく1か月ですが、いまも探しているのかもしれません。

彼女を見かけなくなったのは突然でした。いつかきっと、ふみちゃんも突然いなくなってしまうのでしょう。私にはどうすることもできません。

ふみちゃんがいる間、毎日をしっかりと生きるのみです。