電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

感傷に浸る

昨夜は避けられたと思って凹んでいたものの、やはりふみちゃんに会えると復活します。今朝もいつもの電車のいつもの場所で、昨日と打って変わって白いTシャツというラフな格好でも、かわゆいものはかわゆいのです。

朝も一緒で、帰りも私の会社の前から一緒となると、さすがに私でも気まずいと思ってしまいます…も、もしかして昨夜のふみちゃんの行動は私を意識しているがゆえのもの、いわゆる「好き避け」というものでしょうか。

いや、まさか、そんなことがあるわけない。どこまでおめでたいんだ、オレ。ただ、好きだの嫌いだのということは関係なく、私に対して「いつも一緒になる人」という認識を持っていることは確かではないかと思います。これだけ毎日、すぐ近くで一緒になるのですから。

ところで、私の隣の席にはいま、誰もいません。いつもの陽気なイギリス人は別の席に移動しました。私の隣には新たに採用するアシスタントに座っていただく予定なのです。イギリス人は当然、空いた席に移ったわけですが、空いた席というのは9月末で退職する予定だった同僚がいた場所です。

同僚は転職先から「やっぱり9月からきてほしい」と言われ、8月末での退職となりました。そして昨日が最終出社日だったのです。退職日を1か月も早めるなど、本来であれば難しいことですが、いまの書籍チームはお荷物になっていますから、むしろ会社としては喜んでいました。

彼がいたのは5年間。私より先に入社していましたが、半年しか違わないため、ほとんど同期のような感覚でした。私にとって社内で最も仲が良かった同僚と言っても過言ではありません。書籍チームの雲行きが怪しくなり始めた昨年の10月ごろから、よく2人で話をしました。

昨日、同僚のデスク周りの整理を手伝いました。引き出しの奧からかつて苦労した書籍やその資料などが見つかり、その都度、みんなで昔話が始まってしまうので、なかなか進みませんでした。「引っ越しの荷造り中に卒アルとかが見つかってなかなか進まない」というのと同じ感じです。

また、編集者の荷造りとなると、とにかく書籍が多いので大変です。私物などと合わせて、自宅に送る段ボールは3箱にもなりました。しかも、すべて重いし。宅配便業者の方、大変申し訳ありませんが、がんばってください。

定時になり、みんなが集まって記念品と花を贈りました。みんなはそこで終わりでしたが、私は1階のエントランスまで見送りました。「落ち着いたら連絡するから飲みに行こう」― 彼が駅まで歩く後ろ姿を数分、見つめて、感傷に浸ってしまいました。

別フロアにいる営業やマーケティングからは既に退職したメンバーがいますが、私がいるフロアでは彼が初めての退職者です。日本市場からの書籍出版事業の完全撤退が発表されてから1か月半が経ち、発表以前の日常に戻りつつあったのですが、現実に引き戻されました。書籍チームの解体は現実です。

次に職場を去るのは後輩で、9月中旬の予定です。昨日の同僚も後輩も次の職場が決まっていて、それは本人にとってステップアップできる場所なのですが、やはり見送る側は寂しくなります。私が前の会社を退職したとき、みんなこういう気持ちだったのかな…。

とはいえ、同僚や後輩の業務を一手に引き継ぐことになったため、目の前には仕事が山積みです。いつまでも感傷に浸っているわけにはいきません。今日はこれから派遣社員との「顔合わせ」です。気持ちを入れ替えます。