電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

キラキラ

「ずずずは9時過ぎにいつも外を見ているけど、何かあるのか?」― 出社してきた同僚に聞かれました。私が毎朝ふみちゃんを見つめている姿を見ていたそうです。

9時30分に出社するスタッフにとってちょうどよい時間なので、出社する誰かに見られていて当たり前なのですが、私はふみちゃんしか見ていないのでまったく気づいていませんでした。

「8時30分のデイリー作業がいつも9時過ぎに終わるからコーヒー飲んでひと休みしてるんだよ」とかわしておきましたが、明日から少し気をつけないと。

ふみちゃんはいつもキラキラしています。そんなふみちゃんを見つめていると、自分とは住む世界が違い、自分のようなブサイクに想われることすら嫌だろうと思ってしまいます。

昨日のバレンタインデーは彼氏とデートだったのかな、楽しかったのかな…。

ふみちゃんがいつも楽しく、幸せでいてくれれば、私はそれだけで十分です。

期待を裏切らない男

私は期待を裏切らない男です。安心してください。

今年もゼロでした。

サプライズなど起こるべくもありません。国際的な大手情報企業で外人相手にバトルを繰り広げるブサイクとして、ブサイク道をこれからも邁進します。

帰り際に広告営業チームと作戦会議を開いていました。彼らの希望は何としてでも広告営業チームの出版物を私に担当してもらうことです。

私は昭和の人間です。日本の古き悪しき慣習が詰まった新聞社で社会人としてのスタートを切った男です。そう簡単に外資系の色に染まるわけがありません。

社内で困っている人がいて私に助けを求めているのであれば、何とかして手伝ってあげたいのです。それで自分が無理をすることになっても、です。

手伝うことによって報酬は増えないのに業務は増え、土日祝日も仕事せざるをえなくなったとしても、見返りを求めるつもりはありません。てめぇのケツはてめぇで拭きます。

ただ、ダイレクターを説得する理由が見つかりません。言葉の世界で生きる言葉のプロであるにもかかわらず、ダイレクターに上手く伝える言葉が見つかりません。

以前はふみちゃんに気持ちを伝える言葉が見つかりませんでした。言葉に力がないのではありません。言葉の力を活かす能力が私にないのです。

肝心なところで言葉の力を引き出せず、いつも凹んでいます。広告営業チームの期待を裏切らないようにするにはどうすればよいのか。