電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

続々・メジャーデビューへの誘い ~ 合格してしまいました

「うちらとしてはぜひ加入していただきたいです。これから一緒にやっていきませんか?」

マテ!

こういうことは大抵「メンバーで相談して後日あらためてご連絡します」ではないのか。その場で即答は想定してないよ。もっと熟考しなくていいのか。

「こういうのは直感が大切ですから」ってもっともなことを言わずにもう少し考えようよ。こちらにも心の準備というものがあるんだからさ。

本日のオーディション、満場一致で合格してしまいました。今日の回答などまったく考えていなかったので、実はいま、かなり慌てています。

スタジオに入った瞬間、ある種、異様な雰囲気を感じました。後で聞いたら、私の前に2人をオーディションして、2人とも期待外れだったのでドン引きしていたそうです。

しかも、てっきりメンバー8人とリペアショップのオーナーを合わせた9人だけだと思っていたのですが、レーベルの関係者3人とスタジオのエンジニア2人の14人が待ち構えていました。

音楽の世界で生きるプロが14人も集まり、しかも全員がドン引きしており、文字通り一挙手一投足に注目される中で弾いたことは記憶にありません。

マチュアですが、これまでそれなりの数をこなしてきたので肝は据わっているつもりでした。しかし、今日はさすがにチューニングする指が震えました。

ただ、曲が始まってしまえば無心です。ドラムがとても心地良く、気づけばみんな笑顔で身体を揺らしていましたし、私も全身でリズムを取りながら弾いていました。

正直言ってとても楽しい時間でした。メンバーの人柄も良く、途中のおしゃべりも盛り上がりました。このメンバーでバンドを続けていくことに魅力を感じたことも事実です。

しかし、プロとして続けていけるかどうかと聞かれると即答できません。どうしても一瞬、答えに詰まってしまいます。そして、それがすべてではないかと思います。

生活云々ではありません。プロとして高いモチベーションを保ち続けられるかどうかを考えたとき、どうしても自信を持って「YES!」と言えない自分がいます。

極端な話、私はこの世に音楽がなくても生きていけます。“NO MUSIC, NO LIFE.”ではありません。ここにプロとアマの差があるのではないでしょうか。

「候補者がもう1人だけ残っていて、週末に音合わせをすることになっているので、正式なオファーはその後になりますが、われわれはぜひずずずさんにお願いしたいと思っています」

ひとまず週末まで考える時間ができました。合格しても断るつもりだったものの、不合格はそれはそれで切ないと優柔不断だったところに賽を投げられてしまいました。

明日(日付変わって今日)は有休をいただいています。寝て起きるとまた考え方が変わるかもしれません。

今夜は髪型をキノコヘアにしてメジャーデビューした私がアイドルと付き合っている夢を見られる気がします。

虎の威を借る狐になることなかれ

以前にも書きましたが、打ち合わせで弊社にご足労いただくことに慣れません。自分から足を運ぶのが当たり前だったため、申し訳なくて仕方ありません。

私は原則として発注元になります。委託先は下請けとして仕事をもらうことになり、私はお客さんになるわけですから、出向くのは当たり前なのかもしれません。

ただし、こちらは困っているから委託するわけで「お願いしてやってもらう」のです。打ち合わせはこちらから出向くのが筋です。

「代わりはいるし、ぜひ受けたいという他社に受注してもらってもこちらは一向に構いませんが」という横柄な発注元がいます。

しかし、いざ代わりを探してみると意外と見つからないものです。下請けだからと下に見ることなく、かといって過剰に持ち上げることなく、対等に接するべきです。

そもそも、下請けに払うお金は会社のお金、偉いのは会社であって自分ではないのです。会社という虎の威を借る狐ほど格好悪いものはありません。

今日の来客も当初、私が伺いますと伝えたのですが、「いえいえいえ、こちらから伺います」と押し切られてしまいました。私はそんなに偉くないのに。

「御社の環境を1度、拝見したかったので」と言われれば少し気が楽になりますが、気を遣ってくれているのであれば心苦しいのです。

かといってこちらから足を運んだら今度はあちらが恐縮してしまうのでしょうか。次は私が足を運び、その次はあちらにご足労いただき…と交互にすればよいのか、うん。

本音を言うと、ずっとオフィスでデスクワークがつまらないので気分転換に外に出たいわけです。仕事サボってドトールで一服したいものです。