電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

一発芸入試

「ずずずさん、日本の大学は一発芸で入れるんですか?」― 朝イチの作業を片付けてコーヒースペースで休憩していたところ、年明けから隣の部署に異動してきたシンガポール人に尋ねられました。

彼は1年間、日本の大学に留学した経験がありますし、独自に日本語を勉強してきたそうで、日本語での日常のコミュニケーションにまったく問題ありません。

もちろん、イントネーションで外人だと分かりますし、契約書など難しい書面を日本語で作成するときなどは日本人のサポートが必要ですが、“日本語がとても上手”というレベルです。

その彼からの質問です。一発芸で大学に入れる?いったい何のこと?何でも電車の中で高校生が話していたそうです。勘が良い方はお気づきかもしれません。

一芸入試のことでした。

従来の知識詰め込み型の学力試験ではなく、部活動での好成績など学力以外の人柄を見て合否を判断する形式の試験です。説明してあげると彼は納得しつつ恥ずかしそうにこう言いました。

「“ゲッツ!”で大学に入れるのかと思いました」

留学していたときに流行っていたそうで、彼の中で一発芸といえばダンディ坂野のようです。ちなみに、コーヒースペースで“ゲッツ!”のポーズを披露してくれました。

外国語をマスターするために重要なことは、言い間違いを恥ずかしがらずとにかく話すことです。相手は言い間違いをバカにするようなことはありませんし、何とかこちらの言葉を聞き取ろうとします。

ただ、日本人にとってこれが最も難しいことです。日本人がなかなか英語を話せるようにならない最大の要因は、文法など読み書き重視の教育方法ではなく、「恥」を重んじる国民性だと思います。

私も言い間違いがとても恥ずかしかったですし、それはいまでも同じですが、外人の英語も実は適当だということに気づいた瞬間から吹っ切れて、以前ほど気にしなくなりました。

米国人と英国人はお互いに相手の英語がおかしいと言っていますし、スペイン人やインド人、中国人の英語などめちゃくちゃです。何と言っているのか、ネイティブでも聞き取るのに気を遣っています。

しかし、彼らは些細な間違いなど気にせず、マシンガントークを繰り広げます。そして何とか伝わるのです。日本人のように何も言わなければ何も伝わりません。

ちなみに「最近、流行っている一発芸は何ですか?」と聞かれたのですが、テレビをほとんど見ないので分からず。いまイチオシの一発芸は何なのでしょうか。