電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

上から目線

「ずずずさんっていつも朝早くて夜遅いよね。勤務時間ってどうなってるの?」― 今日もイケメン君に絡まれています。

ふだんタバコを吸う場所は灰皿が置いてあるしっかりした喫煙所ではなく“裏口から出たその辺”です。みんな携帯灰皿を片手に吸っています。

イケメン君に絡まれるようになってから少し離れた場所で吸うようにしているのですが、向かっている途中で捕まってしまっては逃げられません。

イケメン君も1日に1回は私に絡まないと気が済まないようで「タバコ吸うときは声かけてよ。おしゃべりしたいし」などと言っています。おしゃべりとは名ばかりで、イケメン君の自慢話なのですが。

ここで冒頭に戻ります。イケメン君の勤務時間は9時30分~18時00分で、彼はいつも始業ギリギリに出社し、18時ちょうどに退社します。時間で働いているので当然です。

「早く来て遅くまでいてもその分の給料が出るわけじゃないんだからさ。もしかして、がんばってる風の姿を見せて正社員になろうとしてるの?」

一旦思い込んでしまったら誰かに言われるまで気づかないと思いますが、初めて会ったときになぜ私を派遣スタッフだと思ったのか、本当に分かりません。

その後も、来客があったり他部署のマネージャーと親しげに話していたり、疑問に思ってもおかしくないはずですが、“ずずず=派遣”という考えが確立してしまったのでしょう。

「ところで去年のバレンタインデーってもらえた?」。“おしゃべりしたい”と言いつつ、彼が一方的に話すだけで、私に発言権はないようです。

しかも、私が答える前に「今年は僕がもらったものを分けてあげるからね」という、空前絶後の超絶怒涛の上から目線です。どれだけ作り込まれた笑いも天然の笑いには勝てません。

私が正社員だとバレるXデーはいつになるのか。