電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

でし

「すみません、このスープに“でし”は入っていますか?」― 松屋で昼メシを食っていたら、隣の女性が店員さんに聞きました。見た目が日本人なので分かりませんでしたが、どうやら外国人のようです。

一方、店員さんも外国人で、注文の取り方などを見ていると日本語があまり上手ではありません。案の定「?」という顔で聞き直していましたが、そもそも私も意味が分かりませんでした。

「このスープにエキス…魚…フィッシュの成分」と聞いて「もしかして“出汁”のことか!」と思い当たりました。まとめると「この味噌汁に鰹など魚からとった出汁は入っていますか?」と聞いているようです。

外国人の店員さんに出汁は難易度高めですが、それにしても店員さんも「これは味噌汁といって日本の定食に付いてくるもので…」などと完全に的外れな回答です。

よっぽど助け船を出そうかと思いましたが、宗教的な問題やアレルギーだった場合に責任が取れず、軽々しく口を挟むのは怖いため、スルーさせてもらいました。その後、普通に飲んでいたので真相は分かりませんでしたが。

この店舗では、この店員さんを含めた4人全員が外国人で、日本人が1人もいません。日本語レベルはどんぐりの背比べで「お冷やください」が通じない人もいます。

深夜のワンオペですっかりブラック企業のイメージがついてしまったすき家の業績が好調だそうです。人手不足で休止していた深夜営業の再開が要因の1つだそうで、すき家バイトする人が増えたということでもあります。

ただ「店員は外国人ばかり」「注文すらなかなか通じない」という意見をよく目にしますし、私も先日、近所のすき家に行ってみたら店員さんは全員、外国人でした。たまたま、と言われればそれまでですが。

店員さんが外国人であることは何も気になりません。「キツい仕事は日本人が集まらず、やはり外国人に頼らざるをえないのか」と思うことはありますが、それで外国人がかわいそうであるとは思いませんし。

昨今、移民など外国人の受け入れについての議論が盛んですが、どうもこの問題については議論が両極端になりやすいと思っています。移民を受け入れると日本の害になるという側と、移民がいなければ日本の将来はないという側です。

また、過去や現在の入管政策にしても、技能実習制度や日系人の受け入れがいかに人道的に間違っているかなどが強調されやすく、それらの政策で来日した外国人のほとんどが犠牲者であるという誤解を招いていると思います。

この制度のおかげで恩恵を被った企業や日本経済と、お金を稼いで技術を身に付けた圧倒的多数の外国人については語られることが少なく、ひと握りのひどい事例だけを見て感情的になってしまいがちです。

総体としての外国人はかわいそうでもありませんし、かといって敵視するような存在でもありません。日本という希望の地で一生懸命、それぞれの真面目さで生きているだけです。

東日本大震災の復興現場や東京オリンピックに向けた施設整備のための建設作業員が足りていないことは以前から言われていますし、今後は介護分野での人手不足が本格的に問題になるはずです。

松屋すき家のような飲食チェーン、コンビニなど小売業でもバイトを募集してもなかなか集まらないそうです。ロボットによる自動化も導入されつつあるようですが、当面はまだまだ人の手が必要でしょう。

私は比較的、外国人と接することが多いので、どうするのが良いことなのか考えることがよくありますが、「分からん!」というのが本音です。まだまだ議論が足りていないということだけは分かりますが。

それにしても松屋の店員さんのビザは大丈夫なのか不思議です。外国人が日本で就労可能なビザを取得するのはとても難しく、留学で来ているのであれば時間で厳しく制限されます。

結構な時間と日数、勤務しているようで、きちんと調べたら不法就労に該当しているのではないか不安になります。そういうことが1件でもあるとすぐ外国人叩きが始まるので、その辺だけ特に気をつけてもらいたいところです。