電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

野毛

「横浜」と聞いて思い浮かぶのは何でしょう。中華街、山下公園ベイブリッジ本牧、みなとみらい…江戸自体末期、いち早く外国人居留地が作られたことによる、古き良き異国文化の名残りでしょうか。

しかし最近、野毛(のげ)と呼ばれる昔からの飲み屋街が注目されています。最寄り駅はJR京浜東北根岸線桜木町駅で、線路を挟んで海側はオシャレスポットのみなとみらいです。

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みなとみらい地区は元々、三菱の造船所でした。最盛期には24時間365日、船を造っていたのです。そこで働く人々も3交代制で24時間、朝昼晩と稼働していたわけです。

日が昇る早朝、ごく普通の会社勤めの人であればこれから出勤するところですが、深夜に働いていた人は仕事上がり。当然、一杯飲みたくなるわけで、野毛はそういう人々で栄えてきました。

私にとって野毛といえば、朝っぱらから飲んだくれてくだを巻いているおっさんの街なのです。若い女性やカップルが来たらたちまち絡まれるような、治安が良いとは決して言えない街です。

それがいまや観光地のようになり、週末になると若い女性だけのグループも珍しくなくなりました。おっさんを見かけることは少なく、若者の街のようになりつつあります。

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場末の居酒屋や立ち飲みなどが流行っています。火をつけたのは吉田類さんの「酒場放浪記」という番組ではないかと思いますが、ほかにも同様のブログなどがいっぱいあります。

このテのものが流行るのは必然といえます。不景気が続き、安くても価値があるものを求めるようになり、安い値段で美味しいものを飲み食いさせてくれる居酒屋に人が集まるのは当たり前です。

また、このような流れを契機として、まちづくりやまちおこしなど地域の活性化につなげていこうとする動きは、とても素晴らしいものだと思います。

まちづくりはとかくお金がかかるものです。新聞記者時代にあちこちのまちづくりについて取材したことがありましたが、「お金がなくてできない」という人々にたくさん会いました。

一方、多額の投資をしたものの、まったく成果が出ていないところもたくさんあります。そういうのは大抵、行政が主導して進めたもので、お役所仕事の典型例を何度も目にしました。

まちづくりは、そこで働き、そこで暮らし、そこで生きる人々の手によってしかできません。そして、野毛はそれが上手くいった良い例です。

昨日は景子さんとみなとみらいでお買い物をし、何か食べていこうということで、2人で何度か行ったことがある野毛の焼き鳥屋に向かったのですが、大行列でした。

ほかにも行列ができているお店がたくさんありましたし、周りを見るとガイドブックらしきものを片手にした若者がたくさんいて、野毛も変わったとしみじみ思いました。

数軒回ったところでちょうど客が店を出るところに遭遇し、何とか滑り込むことができました。親父さんは景子さんのことも私のことも知っているので「おや、珍しい2人が」と軽口を叩いてきました。

「だっていつ来ても満員で入れないんですもん」と応えると「確かに昔からの常連さんがずいぶんと来てくれなくなって、申し訳ないと思ってるんだが」とのことでした。

いや、常連も一見も分け隔てなく扱うのは商売の常道ですし、繁盛して何よりなのですが、それをよしとしない常連もいるわけです。その常連の気持ちも分からないわけではないので難しいところです。

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奇跡的に2本残っていたモツをほおばりながら考えさせられました。そして1本だけ残っていたナンコツは「これは美人だけ」という親父さんの理不尽な理由で景子さんに出されてしまいました。

分け隔てしまくりじゃねーか!

美人はそれだけで得をし、ブサイクはそれだけで損をするのです。