電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

質問力

新大阪駅から18時50分の新幹線に乗り、21時すぎに新横浜駅に着き、21時30分ごろに無事に帰宅しました。横浜~大阪の遠距離を約2時間30分で移動するという高速走行でありながらも目的地に定時に着く新幹線の技術は本当にすごいと思います。

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明日からの東京での仕事に備えて前泊ということもあるかもしれませんが、ほとんどが大阪での仕事を終えて東京に戻るサラリーマンのようで、新大阪駅を出た瞬間にあちこちから“プシュ”という缶ビールを開ける音が聞こえました。もちろん私も同じです。

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今回は書籍の制作という通常業務ではなく、広告営業チームのお手伝いです。クライアントにインタビュー取材して記事化し、弊社が発行している月刊誌の付録として挟み込む小冊子を制作するのです。クライアントを紹介する、いわゆる記事広告と呼ばれているものです。

今回、出稿してくれるクライアントは17社。営業は出稿を決めて、取材日を設定するところまで、それ以降の取材から執筆、編集、デザイナーや印刷会社とのやりとりまで、すべて私が1人でこなします。正直言ってかなりキツいです。

9月に発行する号に挟み込むため、クライアントの確認期間を考慮して逆算すると、取材期間は7月上旬から約3週間です。取材日は当然、クライアントの都合に合わせることが大前提です。今回の大阪出張でも、昨日と今日で2社ずつ、計4社こなしました。来週の火曜日は幸か不幸か、1日に3社という過密スケジュールになっています。

インタビューでは質問力が問われます。インタビューの相手から良い回答を引き出す、相手が気持ち良く話せるようにするには「こちらもあなたが携わっている業務についてよく分かっています」ということを伝えなければなりません。

ものすごーく簡単な例を挙げます。間もなく参議院議員選挙です。あなたが政治家だったと仮定して、若者の投票率が低いことについて意見を求められている場面を想像してみてください。

  • 若年層の投票率の低さについてどう思いますか?

最近の若いもんは投票権のありがたみを分かっていない。一定の年齢に達していさえすれば性別など関係なく、誰でも政治に参加できるような機会を得られるまでに先人たちがどれだけ苦労したか。先人たちは…云々

と説教モードに入ってしまったりしないでしょうか。

今度は、次のように質問されたと考えてみてください。

  • 若年層の投票率の低さについて「投票しても何も変わらない」「実現してほしいと思う政策がない」「この政策を実現してほしいと思って投票しても実現された例しがない」という意見が多くあり、私も政治に対して期待感より失望感のほうが勝っているのではないかと感じていますが、どう思いますか?

若者の政治に対する失望感はよく耳にするし、それについてはわれわれ政治家にも責任があると思う。それを踏まえた上で、私は次のような政策を打ち出したいと思う。それは…云々

若者の声を聞き、私自身も政治に対する失望感を持っていることを伝えています。この場合、回答の方向性が少し変わらないでしょうか。少なくとも、一方的に若者を批判する気持ちにはならないと思います。

これを突きつめたものが質問力です。いわゆる“気の利いた質問”をするためには、インタビュアーにも相応の知識と考えが求められます。しかも、私は専門書の編集者で、クライアントもある特定の分野のプロです。当然、私にもある程度の素地があると思われています。

弊社が扱っている分野は非常に難しいものです。私は専門外の分野から飛び込んだので、実はよく分かっていません。そのため、インタビューに際し、事前準備にものすごく時間がかかります。

新聞記者時代、先輩に「取材3分、準備3日」と言われたことがあります。たった3分間、取材するために、3日間も事前準備が必要だ、付け焼き刃の知ったかぶりはダメだが、3日間ぐらいかけて調べれば、3分間ぐらいなら何とかやり過ごせる、ハッタリをかませるという例えです。でも実際、そのとおりだと思います。

昨日と今日で取材した4社のうち、1社は事前準備が足りず、かなり苦しいインタビューでした。会話がまったく弾まなかったのです。気持ち良く話せる質問ができず、相手に申し訳ないと思うと同時に、事前準備が足りなかった自分自身に悔しい思いでいっぱいです。

明日も1社、明後日も1社、予定が入っています(都内)。広告営業が苦心して調整してくれたことも分かるので、限られた時間でどこまで準備できるか、記者&編集者としてのプライドを賭けた勝負です。

今日は10時の取材をこなして、次は16時からで、かなり間が空いたので、お昼ごはんにまたお好み焼きを食べました。

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…ん?2枚ある?そこに触れるのは野暮ということで。いまは明日、ふみちゃんに会うことで頭がいっぱいです。