電車の中の恋人

通勤電車で一緒になる女性に恋して散ったブサメンの日常

天然

読者のためになる書籍を生み出そうと日々、著者と向き合い、原稿と格闘し、デザイナーとぶつかりながらがんばっているつもりです。たまに休んでしまうこともありますが、それでも編集者として恥ずかしくない仕事をしていると思います。しかし、まだ努力が足りないのか、神は絶えず我に試練を与えてきます。

ある程度は予想していました。だって結婚報告だもん。ただ、ブサイクにとどめまで刺さなくてもいいと思うの。せっかく良い塩加減で焼き上げてくれた焼き鳥に自分の涙の塩分が加わっちゃうじゃん( ↓ 婚約者が合流して焼き鳥が3本に)。

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友人はイケメンです。No.1、2には及びませんが、世間一般で見てもかなりのイケメンで、スタイルも抜群。母校の大学に残って研究を続けて、異例の早さで助教授になった、文字通り将来を嘱望される研究者です。40歳になる前に教授になるかもしれません。まさに『ガリレオ』の福山雅治みたいな男です。

一方、婚約者はごく普通の女性でした。ぽっちゃりしていて、ファッションもごく普通。ヤツであればもっと美人と付き合えるでしょうし、実際に美人からしょっちゅう言い寄られていましたし。仕事は保育士さんで、やはりごく普通。シングルマザーの彼の姉に姪っ子のお迎えを頼まれて、迎えに行った保育園で出会ったそうで。

しかし、話してみて納得。ほんわかとして、とげとげしていた気持ちが洗い流されるような、とてもリラックスできる空気を作り出すのです。大学や学会で注目を浴び続け、画期的な研究成果を求められ、毎日気が抜けないヤツにとって最高の女性だと思いました。これぞ、ザ・癒し系。

そういえばヤツは学生時代から見た目ではなく中身で女性を選んでいたことを思い出しました。誰もが美人と思う女性からの告白を何度も断り、同じ研究室の地味な後輩と付き合っていました。見た目がイケメンは中身もイケメンなのです。結婚式での友人代表スピーチを頼まれ、快諾しました。

ただ、少し気になってはいたのです。ヤツが「彼女、天然でさ。そういうところも良いんだけど」と言ったとき、脳は危険信号を発していたのです。彼女が醸し出す天然の香りに、ブサイクの防衛本能が働いていたのです。

「彼はすごくイケメンで頭も良くて、私なんかと釣り合ってないと思って、付き合ってほしいと言われても最初はお断りしたんです。今日も“親友を紹介する”って言われて、彼の親友で、しかも外資系にお勤めって聞いていたので、やっぱりすごいイケメンの方なのかと緊張していたんですが、安心しました!」

天然すげぇ…。

お開きにしようとヤツがトイレに立ち、私と2人だけになったときのことです。あまりにもサラッと、満面の笑みで言われたものだから、私も「ヤツをよろしくお願いしますね」なんて笑顔で返してしまいましたが、ふと考えると爆弾発言だったのではないかと。

彼女は「親しみやすい」ということを伝えたかったと思いますし、まったく悪意がないことは分かります。しかし、ここまでストレートにとどめを刺してくるとは予想できませんでした。暗い夜道で辻斬りに遭い、しかも後ろからバッサリやられて斬られたことに気付かないまま絶命した気分です。

何か良いことないかな。