電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

恋に落ちる

「男ってやっぱり外見じゃなくて中身だよね」―世にあふれる綺麗事の中でこれを超えるものを聞いたことがありません。まさに“ザ・綺麗事”。ただ、それが悪いということでは決してありません。

人は初対面の2~3秒で相手の印象を決めるといわれていますし、その通りだと思います。人間とはそういうものですし、自分もきっとそう。ここに文句を言っても仕方ないことです。

イケメンにはイケメンなりの苦労がたくさんあると思います。私の友人にはイケメンが多くいます。いつもなぜか向こうから寄ってきて、私を引き立て役にするつもりかと警戒するのですが、そんなことはこれっぽっちも思っていない中身もイケメンばかり。ブサメンの周囲にはイケメンが集まる、これ真理。

そんな彼らから「外見だけで判断されてしまい、中身を見てもらえない」という相談をよく受けます。言わんとするところはよく分かりますし、彼らにとって深刻な悩みなのでしょう。しかし、ちょっと想像してみてください。まったく同じセリフをブサメンが言ったとしたら…。

イケメンの悩みはブサメンの憧れです。少なくともイケメンには悩みを補って余りあるメリットがあります。一方、ブサメンにはメリットを消し去ると同時に、余りありすぎる悩みがあります。

出社や登校の時間は原則として毎日同じで、必然的に通勤・通学の電車は毎日同じ時間に乗ることになります。また、下車や乗り換え時に便利な定位置に乗る方が多いでしょう。そうなると「そういえばあの人、いつも一緒だな」という方が現れます。そして、それが美人(or イケメン)であれば気になってしまって当たり前。

こういう相手のことを世間では「電恋さん」と呼ぶそうです。そして、私のようなブサメンに電恋さんが現れてしまいました。電車通勤歴がそれなりにありますが、人生初のことです。

しかし、ブサメンにとって電恋ほどハードルが高いものはありません。純粋に外見だけで勝負しないといけないわけですから。私の友人に2人、電車で女性から手紙をもらったことがあるのがいますが、私の友人の中でも1、2を争うイケメンです。私には未知の世界です。

私は電恋さんに話しかけるとか何か行動するつもりはありません。痴漢やストーカー扱いされそうですし、そんな勇気もなく、毎朝見られればそれでよいのです。自分の身の程を知ることはとても大切なことです。ただ、たまに誰かにぶちまけたくなることがあるのも事実です。そんな衝動を抑えるために、ブサメンの日常を交えて書き殴っていこうと思います。