電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

自分の意見などほぼ間違っている

ブログというものが認知されはじめ、その流れに乗ってイケイケだったころ(16年前、後述)、持論が絶対と思い込んでアップしたエントリーに(信者から)思ったとおりの反応をもらい、有頂天になっていたことがありました。反論はもちろん、少しでも疑念を示そうものならさらし者にしかねないぐらいの勢いでした。それでも決してさらさなかったのは無意識のうちに常識人であろうという理性が働いていたのかもしれません。

ポイントカード、いまでこそ当たり前のものとなり、支払いの場面で忘れることなど少なくなりましたが、そのころはT-ポイントか楽天ポイント、ヨドバシポイントぐらいしかなく、精算時にポイントカードを出さないといけなく、「ポイントカードをお持ちではありませんか」と聞かれるのが常識でした(いまもそうですが)。

私は精算時に聞かれるたび「持ってたら言われなくても出すわ!」と怒りそうになるのをガマンしていました。持っていれば言われる前に出す(ぐらい優秀な)のに出さないということは持っていないわけで、忘れたなど思うな、と思っていたわけです。我ながら調子に乗ったアホでした。これを書いたところ、スーパーでレジ打ちをされているという方から「いつも楽しく拝見しています。自分では気付かない視点からご意見で勉強させられています」という丁寧な書き出しでメールをいただきました。

いつもどおり自分の信者だと思って上機嫌で読んでいたわけですが「…精算時に忘れていてポイントカードを出さず、数日後に“ポイントをつけてくれなかった”とクレームしてくる人がいるので必ず聞いているのです」と指摘され、すごく納得すると同時に恥ずかしくなりました。

コンビニやスーパー、ドラッグストアなどの精算時、いまでもポイントカードの有無を聞かれ、出さないということは持っていないということなんですが…と言いたくなりますが、それはあくまでも自分の意見で、「聞かれなかったから出さず、ポイントをつけてもらえなかった、どうしてくれるんだ!」とクレームを寄せる人がいるということをそのときに知りました。

どれだけ有名な人であっても、短い人生で経験できることなどほんのわずかで、自分は常に正しいということなどなく、苦言を呈してくれる方を大切にし、常に自分に対する疑問、苦言・諫言を受け入れるべきであると思っています。誹謗中傷は無視して構いませんが、ほんの少しでも自分のことを思ってくれていることを感じられる意見には真摯に耳を傾けるべきです。

新型コロナウイルス感染症のせいで飲食店の経営は厳しく、行政の助成で何とか生き延びているという経営者が少なくありません。そして、いますぐに現金が必要なのに、行政はいまの苦況を客観的に示す書類や、売り上げ減が一目で分かる資料を出せと言います。そんな行政に対する不満をよく耳にしますし、当然のことと思います。こんなときにお役所仕事か、と。

ただ、行政も自分たちの仕事のやり方が実態に即していないことをよく分かっています。行政の中の大多数の人は、資料などなくともパッと見でいかに厳しいか分かり、書類などなくともすぐに助成してよいと思っています。しかし、ほんの一部の市民から、貴重な税金の無駄遣いではないか、助成するに足ることを示す明確な証拠を出せ、と言われるので、申し訳ないと思いつつ、ごく一部に備えて証拠の提出を求めています。面倒な資料を提出してもらうことが、結果的に助成先の助けになることをよく分かっているからです。

飲食店への入店時にマスク着用必須というのもこの一環です。入店して少し経ったら食べるためにすぐ外すのだから別にマスクを着用していなくとも構わないだろう、というのは実情に即した正論ですが、行政は助成するために「入店時はマスク着用を必須としている」というマニュアルを誰にでも説明できるよう作成しなければならず、飲食店は助成を受けるためにそのマニュアルに従わなければなりません。最前線の現場の人々はマニュアルがどれだけおかしいか、よく分かっているはずです。

1人の人間が知ることができることなどたかが知れていて、自分の考えなどほぼ間違っていると思うことが大切なのではないかと思っています。言い換えれば、常に他者の意見に耳を傾けるということです。話題の餃子の件についてで、詳細を知らないので偉そうなことを言うのはどうかと思いつつ、昔のポイントカードの話をどうしても思い出してしまったわけです。

お役所仕事、それに従うアホ、と揶揄したくなる気持ちも分かるものの、そうせざるをえない事情がそれぞれにあります。個人の意見を発信しやすくなり、体制を動かしかねない影響力を持ったことはとても良いことだと思いますが、それによる負の影響の大きさを理解している人が少ないことは大問題だと思っています。

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ところで、ブログというものが認知されはじめ、その流れに乗ってイケイケだったころ(16年前)に運営していたニュースサイトが雑誌で紹介され、その雑誌をたまたま見つけました。「2004年」となっています(佐藤江梨子、若ぇ)。

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『わたくし犬でございます』…よくあんなサイトをやっていたものです。