電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

パクり方にも礼儀

書名や内容、仕様などが酷似している書籍がたくさんあります。

例えば、朝バナナダイエットが注目されたらその書籍、夜トマトダイエットが注目されたらその書籍、糖質制限が注目されたらその書籍…と、書店の入り口には同じような書籍が積み上げられます。

最近だと万葉集でしょうか。「初めて読む~」「マンガで理解する~」などお約束のものから、詠まれた場所を紹介する旅行雑誌だったり、ペン習字の題材に歌を使ったり、万葉集関連書籍がブームです。

新刊を増やせ

出版社は相変わらず新刊を出し続けています。以前と比べて落ち着いたと言われていますが、それでも2017年の1年間で約7万3,000点の新刊が出ています。誰がそんなに読んでいるのか。

出版社がとにかく新刊を出すのは、取次からの仮払いが欲しいからです。もっと言うと、多くの出版社は取次からの仮払いがないと倒産してしまうほど苦しく、自転車操業に陥っています。

www.wakabkx.com

とにかく新刊を出さないといけませんが、編集者の能力にも限界があります。いままで年間5タイトルの企画立案でよかったのが10タイトル、15タイトルになることも珍しくなく、そう簡単に売れる書籍を思いつくわけがありません。

パクってでも増やせ

そうなるとパクるしかありません。もちろん、編集者はパクりたくありませんが、売り上げや刊行点数のプレッシャーはきつく、パクらざるをえません。こうして何とか刊行点数を稼ぎます。

パクるにしても構成などを少しでも変えようと努力している跡が見えればまだマシですが、中には丸パクりする出版社や編集者がいます。私も丸っとパクられたことがありました…。

出版社で構成される版元ドットコムという団体があり、私は個人的に会友として参加していますが、きょうのメーリングリストで丸パクりへの対応の相談が飛んできました。

編集が嫌いになる前に

相談してきた出版社が4年前に刊行したタイトルで「こんな依頼と企画書がきたんだけど」と当時の監修者が連絡してくれたそうです。それを見ると何から何まで丸パクりだそうで。

パクられるのは嫌ですが、パクられるほど良い内容のものを制作できたという自負を感じることも事実です。ただ、パクり方にも礼儀があると思うわけです(パクる時点で礼儀もへったくれもありませんが)。

とりあえず監修者には断ってもらい、警告書を送るそうですが、その監修者でなくても刊行してしまうでしょうし、パクりを証明するのはとても難しく、よほどでなければ無理です。

編集者も追い詰められて仕方なくだろうし、気持ちは分かるが、そういう仕事は自分にとって何の意味もなさないから、編集という仕事を嫌いになる前に辞めてしまえ!…という声は届くわけもないか。