電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

ジョブ・ディスクリプション

「ジョブ・ディスクリプション」というものがあります。日系で働いている方はピンとこないかもしれませんが、海外で働いている方はもちろん、日本国内でも外資系で働いている方はよくご存知だと思います。

ジョブ・ディスクリプションとは会社での自身の業務を明確に記述した文書で、日本語では職務記述書と呼ばれます。海外では日々の業務はもちろん、採用や評価にも使われる、なくてはならないものです。

私もいまの会社に入るときに求人情報でジョブ・ディスクリプションを確認して応募しましたし、内定後のオファーレターのジョブ・ディスクリプションに納得してサインしました。

例えば、私の場合、いまの会社でやるべきことは「編集」です。それ以外の人事や経理、営業などに配置転換されることはありません。その分、編集業務を突き詰めることを求められます。

広く浅くの日系

日系の場合、会社全体の理解を求められ、総務や法務、広報、マーケなど全部署を数年おきにめぐっていきます。「とりあえず採用して向き不向きは後から見つける」というスタンスです。

「絶対にクビにならない、会社は常に社員を守ってくれる」という終身雇用が保障されていればこれでも構いませんが、そんなことはいまや幻です。狭く深いスペシャリストにならなければ生き抜いていけません。

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昨日からあちこちで話題になっている就活ルールの転換ですが、要は若いうちに自分の専門性を決めさせるわけです。日系でもこれからジョブ・ディスクリプションが一般的になると思います。

分かっていないでしょ?

現在の企業の経営層や採用する側はジョブ・ディスクリプションというものを考えたことがあるのでしょうか?意味分かっていますか?理解できていない概念を若者に押し付けようとしていませんか?

とりあえず採用してから仕事を割り振っていく従来の日系式は良いものだと思っています。たかだか20数年間しか生きていない若者が自分にとっての向き不向きなど分かるわけがありません。

そういった若者をとりあえず受け入れて、社会人としてのいろはを教えつつ向き不向きを気付かせ、さらに給料まで払ってあげるという日本社会の仕組みがどれだけ良いものだったか(あえての過去形)。

そして、それをぶっ壊すことになった上の世代にはしっかりと責任を取ってもらいたいのですが、今回のように自分は責任を取らず下の世代にすべて押し付ける有り様です。

就職氷河期再び

親世代が自分の雇用を守るために子世代から雇用を奪ったことで中高年の非正規雇用や引きこもりが生まれたように、上の世代は下の世代を常に振り回します。今回も勝手な都合で若者を悩ませることになるはずです。

今後、若いうちから自分の向き不向きに気付き、得意なことを突き詰めていく、ごくわずかな優秀な若者だけがいくつもの内定をもらい、大多数のごく普通の学生は就職できないという事態になるはずです。

…これってかつての就職氷河期と同じじゃん。

通年採用にしてみたものの上手くいかず、結局、新卒一括採用に戻る図が目に浮かびます。20年3月卒の学生はとても大変になるはずで、悲劇の繰り返しにならないことを祈るのみです。

◆あまりにもうるさいのできょうもイヤホンでFMを聴きながらつぶやいています。 → ずずず (@wakabkx) | Twitter