哲学入門以前からの焼き鳥~欲望にまみれる
私は毎年の元旦、哲学者である川原栄峰先生が書かれた『哲学入門以前』という書籍を必ず読んでいます。
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高校1年生のときに初めて手に取って以来ですから、もう20年以上、続けています。何度も読んでボロボロになり、いま手元にあるものは3冊目です。
ページをパラパラとめくり、ふと止めたところから十数ページ読むことを繰り返していますが、常に新しい発見があります。
よくある哲学入門書の“以前”なので初歩的入門書のように思われがちですが、書かれていることは深く、読み進めるには思考力を要します。
しかし、文章は平易であり、生きるということはどのようなことか、哲学はそこにどう関わっていくのかを自然と考えさせてくれる良書です。
私はこれまで膨大な数の書籍を読んできましたが、その中でもベスト3に入る書籍です。多感な高校時代に読むことができたのは幸運だと思います。
したい放題なんでもするというのは、自由どころか、欲望の奴隷、衝動のとりこになり、内的にすっかり束縛されてしまっていることなのだ。欲望や衝動を抑制し、あるいはこれを断って、精神の自律を保ちえてこそ真に自由な人間といえるのである。
川原栄峰『哲学入門以前』、南窓社、1967、12頁。
例えば、いくら使ってもなくならないほどの金が手元にあり、仕事もせずに毎日、美味いものを食べ、美味い酒を飲み、キレイな女性を抱き、誰に何も言われない男は本当に自由なのでしょうか。
一見すると自由のようですが、その男は美味いものを食べて美味い酒を飲み、キレイな女性を抱きたいという欲望に縛られています。決して自由とはいえません。
変わり映えのない仕事を毎日、淡々とこなしていることに悩んでいるサラリーマンは少なくないと思います。私もその1人です。
しかし、それを辞めずに嫌々ながらも続けているのは精神の自律を保っていること、真に自由な人間であるということです。
「金がなく、生きるために仕方なくやってるだけ」と思うかもしれませんが、それでも金を得るために詐欺や強盗など犯罪に手を出すことがないのは、やはり精神の自律を保っているからです。
毎年の元旦にこの書籍を読むたび、昨年はどう生きてきたのか、今年はどう生きていこうか、深く考えさせられます。来年の元旦はどう振り返っているのでしょうか。
ただ、現実はというとまたもやスーパー銭湯に行き、
きょうはコーヒー牛乳を飲み、
帰り道で生中を飲み、
冷やしトマトをつまみながら、
皮とねぎ肉を頬張るわけです。
あぁ~ん、今年も欲望にまみれそう…。