電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

干されて旨味が凝縮する

私は昨年、会社でずっと干されていました。

正確には転職が決まって退職するまでの1年半です。長い人生の中で1年半などあっと言う間ですが、そのときは時間の流れが遅く、いまが永遠に続くと思っていました。

実際にはそんなことありませんが、当時はこのまま人生が終わると思っていました。嫌なことがあるとオフィス近くの公園でいつも空を見ながらタバコをふかしていました。

いい歳してドラマに感情移入するなどお恥ずかしいのですが『下町ロケット』の第2話を見て「ギアゴースト」の社名の由来を知り、当時を思い出しました。

いてもいなくても構わない存在、不満があるならいつ辞めてもらっても何の影響もない存在、それが昨年の私でした。幽霊として1年半を過ごすのはとても辛いことでした。

前のオフィスになど近寄りたくないのが本音です。しかし、好転したいまの状態でもう一度、あの公園から空を見上げないと、本当の意味での新たな一歩を踏み出せないのではないかと思っています。

中華料理では、干して旨味を凝縮した食材を珍重します。あわびやなまこ、サメのひれ、海燕の巣を干して食べてみようなど、誰が思いついたのでしょうか。

私も乾物のようになりたいものです。