電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

サバイバル

外資は人に厳しい ― よく言われることですし、私自身、身をもって経験しています。

大阪出張から帰って2日ぶりに出社したら退職合意書へのサインを迫られる、しかもそれが30代の最後となる39歳の誕生日当日の朝というのはギャグかと思いました。

「いや、お前、そこまで身体張ってネタ提供しなくていいから」と親友に言われたぐらいです。自分ではそんなつもりなどなかったのですが、期せずしてネタを提供したようです。

いつも通り出社して「はい、よく読んでいまここでサインして」と退職合意書を突きつけられるのはシビれます。精神的なダメージは相当なもので、できれば2度と経験したくありません。

しかし、いまとなってみれば、一概に悪いことばかりではないのではないかと思っています。まだ30代のうちに次に向けて動くきっかけを与えてくれたわけですから。

日系の良いところは雇用の確保です。ただ、雇用を確保してくれるだけでよいのか。頭を使わず、マシンのようになって作業する毎日でよいのか。それがいかに辛いかはこれまで何度も書きました。

新卒一括採用で同時にスタートを切ってもポジションの数は限られています。係長、課長、部長、さらにその上…と上がれるのはごくわずかで、ほとんどの人はヒラのままで終わります。

それはつまり「これまで貢献してくれたから雇用してあげるし給料も払ってあげるけど、別にもういてもいなくてもいいよ」ということです。そして日系の場合、それが分かるのが40代です。

40代で転職に動ける人がどれだけいるでしょうか。外資経験者であればそういうものだと割り切れますし「またどっか外資探そー」となりますが、ずっと日系にいた人だとそう簡単にいかないはずです。

退職や転職には膨大なエネルギーが必要です。「転職したいな」と漠然と思っている程度では動けません。それこそ「君はもういらないから」とはっきり言ってもらうぐらいでないと一念発起しません。

転職が困難な年齢になって不要にされたことに気付くか、まだ可能性が残されている年齢で不要とはっきり言われるか、どちらを良いと思うかは人それぞれです。ただ、40代だとまだ先が長く、それ以降ずっといらない人として過ごすのは辛いと思います。

いやホント「クビ!」とはっきり言われるのはとても辛いことです。文字通り「お先真っ暗…」となりますし、外資には心というものがないと何度も恨みました。いまも恨みは消えていません。

ただ、あのときに辞めた人たちはいま、とても楽しそうに働いています。前の会社を辞めて入ったところからさらにまた転職していたりと紆余曲折はあるようですが、少なくとも腐ってはいません。

組織を信用してはいけない、信じられるのは自分だけ ― 就職氷河期のどん底世代の私の頭の中には常にこの考えがあります。サラリーマンは気楽な稼業などでなく、毎日がサバイバルです。