電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

このままだとバカになる

他社に「ぜひ欲しい!」と思われる人材であるか、翌日から他社に行ってすぐ仕事ができるスキルがあるか。私はこのことを常に念頭に置きながら仕事をしています。

これを考えながら仕事をするのはとても難しいことです。ただ「いまやっていることは他社で使えるかな?」と一瞬、止まってみるだけでかなり違ってきます。

例えば、私の前々職は新聞記者で、前職は出版社の編集者です。文章を書くスキル、書かれた文章を編集して形あるものに制作するスキルは汎用性があります。

前職で異動後に私にあてがわれた業務は、そこでしかできないものでした。独自の形式で整えられて外注先から上がってくるデータを、独自の形式で作られたツールに通すだけです。

ツールといっても莫大な費用を投入して組まれたシステムではなくExcelのマクロです。仕事ではなく単なる“作業”であり、実際に誰でもできるものでした。

「ヤバい、このままだとバカになる」― そう思ったことが40代で転職を決めた理由です。40代で環境を変えることより、このままバカになっていく怖さのほうが勝りました。

私はこれまでスキルやキャリアを常に考えながら仕事をしてきたわけでなく、単に好きなことをやりたいということだけを考えてきました。

それが結果的に文章に関するスキルを磨き、一貫したキャリアを築くことになりました。嫌いなことはやらないというワガママがこの点では良い方向に転がったわけです。

選ばなければ仕事はありますし、自分が生きていくだけの収入を得ることはそれほど難しくありません。しかし、せっかくなら好きなことをやるほうが楽しく、たくさんのお金をもらえるほうが嬉しいはずです。

ただ、ワガママを言うのであれば、それに見合ったものを提供できるスキルが必要です。「好きなことをやりたい!」という権利を主張するからには、対価に見合ったものを提供する義務があります。

ちなみに、フリーランスや起業という選択肢は私の中にありません。一見すると好きなことを自由にやっているようですが、現実は違うことを何度も目の当たりにしました。

転職市場における35歳限界説が崩壊しつつあると言われていますが、私はまだ根強く残っていると感じています。ましてや40代での転職など勧められません。

しかし、自分のスキルが他社で通用するかどうか、自分がバカになっていくことの怖さを意識しているかどうかを常に考えることは、とても重要なことだと思っています。