電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

連日の校了

“校了”とは文字通り“校正を終了する”ということです。

初校、再校、念校と校正を重ねて「もう直すところはないので印刷を始めてください」ということであり、編集者にとって「ようやく終わった」と安堵すると同時に「本当にミスはないだろうか」と一抹の不安を感じる瞬間でもあります。

当たり前ですが、校了するときはミスがないと思っています。しかし、人間がやることですから、ミスは必ず発生します。私も何度もやらかしました。

例えば“消化”としなければならないところを“消火”としてしまったとか、些細な誤脱字はもちろん、参照するよう本文で指示した図表番号がすべてズレていたとか。

著者が見て、アシスタントが見て、私が見て、さらに専門の校正ツールにかけても、どうしてもミスが発生してしまうことがあります。印刷された後に「何でこんなものを見落としたのか…」と凹んだことが何度もあります。

連日のように校了が続くことは編集者にとって大きなプレッシャーとなります。神経を極限まで張り詰めた状態でいなければならず、校了連絡をした後はしばらく魂が抜けたようになります。

しかし、いまはこのプレッシャーも心地良く感じています。危うく失うところだった感覚を思い出してニヤニヤしてしまい「ずずずさん、何だかすごく楽しそうですね」と部下に言われてしまいました。

そりゃ楽しいよ。ここ1年半、頭を使わずマシンと化して誰にでもできることをやっていたんだから。必要とされる喜びをしみじみ実感することなんてなかなかないよ。

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明日は校了するものがありません。まだ火曜日ですが、校了後の儀式である1人飲みを敢行してきました。

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思いっきり仕事して成果を出して、帰り道に1人で立ち飲み屋で飲むこと以上に幸せな時間があるのか。とりあえず私はいまが幸せな時間です。