教養の深さ
母校の会報が届きました。
校友会に入会している卒業生に送られてくるもので、最新トピックスやお知らせ、コラムなどが掲載されており、届くたびに学生時代を思い出しながら眺めています。
パラパラとページをめくっていたところ、見覚えがある名前が目に入りました。これまでも何度か書いている、助教授になった学生時代の同期です。
見開き2ページにさらりとしたコラムを書いているのですが、とてもキレイな文章でした。言葉の選び方や全体の流れにまったく無駄がなく、2000文字程度の短いコラムに引き込まれました。
学生時代はこんなに上手くなく、正直言って野暮ったい文章を書いていたのですが、卒業してから相当の努力をしたのでしょう。純粋に尊敬します。
大学院に入り直そうと思ったことが何度かあります。ただ、文学研究科は社会人入試や夜間コースがなく、会社を辞めざるをえないため、諦めています。
経済学研究科や商学研究科、政治学研究科などは社会人でも通える夜間コースがあります。仕事に役立つと考えられているのでしょうけど、文学もビジネスの場でとても役に立ちます。
外資系で働き、外人と接する中で、彼らの教養の深さを実感しました。特に哲学に対する意識が高く、日本人がビジネス書を読み漁っているのに対し、彼らは哲学書を読んでいました。
私も一時期、仏文科と哲学科で迷った時期がありました。ただ、両親に話すと「哲学なんて何の役にも立たないし、就職できない」と言われました。そもそも文学部に進むことすら当初は反対されましたし。
尊敬する教授がいたので最終的に仏文科を選びましたが、哲学科に対する世間一般のイメージは決して良いものでなく、下手をすると精神的にまずいヤツという考えすらありました。
しかし、ビジネスの場で本当に役に立つのは、豊かな教養に基づく深い人間性であり、それを養うには文学や哲学を学ばなければならないと私は思っています。
文学研究科に夜間コースがあればせめて修士課程だけでも通いたいのですが、仕事している間は無理なようです。