電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

外人からの食事への誘い

「来週、日本に行くことになったのだが、食事でもどうだろうか」― 最終面接を担当した転職先の外人からメールが届きました。

最終面接、正確にはこの後に部下となる予定のスタッフとの面接もありましたが、実質的な最終面接は日本人の役員と日本語で1時間、外人と英語で1時間でした。

この外人、米国本社にいるため、面接はSkypeを使ったビデオチャットでした。顔が見えるとはいえ初対面の外人とモニターを通して会話、しかも最終面接という重大な局面はさすがに緊張しました。

正確なポジションは知らされていませんでしたが、全世界で社員5万人を超えるグローバル企業の「とにかく偉い人」です。極東の島国の支社の1スタッフの採用にここまでやるのかと驚きました。

指定された時間は日本時間で午前5時30分だったので、こちらは当然、自宅です。あちらはサマータイム中であることもあり、午後7時ごろだったはずです。

ここだけの話、私は上半身だけワイシャツとネクタイ、ジャケットでしたが、下半身は短パンでした。見えないのですから、別に構うことはありません。

あちらが私の現職の会社を知っていたこともあり、面接はスムーズに終わり、結果的に内定を得られました。現職の会社は、日本では大したことがありませんが、米国では圧倒的な知名度を誇っています。このときだけ感謝しました。

「もしかして、とんでもないところに入ろうとしているのではないだろうか」― 実はいま、少しだけびびっています。正直言ってやっていけるのか不安です。

現職の会社は世界各国の支社と比べて売上規模が小さく、重要視されていないこともあり、良くも悪くも緩い雰囲気で「もう少し、しっかりしようよ」というレベルでした。

しかし、転職先は違うようです。入社前の手続きの多さからもよく分かりますし、ネットで調べると日本市場の大きさと日本法人の重要性に関する情報が見つかります。

外資系の厳しさは身をもって痛感しています。オファーレターに記載されたポジションとスターティングサラリーに私への過大な期待度が現れていますし、それに少しでも応えられなければまた退職合意書へのサインを迫られるでしょう。

これまで積み上げてきたキャリアと、その過程で磨き続けてきたスキルには自信があります。それが評価されて内定を得られたわけですが、本当に通用するのか、どうしても不安になります。

このようなとき、ふみちゃんが目がなくなる笑顔で「大丈夫だよ」と言ってくれれば何の不安もなくなるだろうと思うのですが、それはもう望むべくもありません。

「有休消化中なのでいつでも問題ありません」― 食事の誘いにはこう返信しました。入社まであと半月、頭の中のネジを緩めることはできないようです。