電車の中の恋人

酒とタバコと電気ベースと料理とキャリア…まあいろいろ

英語学習は命がけ

学生時代に独学で英語を勉強していたときの苦い記憶のお話です。苦い記憶というか身の危険というかお尻の危険というか。思い出すたびにお尻がキュッとなります。

英語の独学で苦労するのはスピーキングです。リーディングやライティング、ヒアリングは1人で学べますが、発音が正しいか、きちんと通じるかは誰かに聞いてもらわなければなりません。

ただ、いまでこそ英会話学校が増え、学費も安くなっていますが、私が学生だったころはまだまだ高く、バイト代をバンドに注ぎ込んでいた学生が払える金額ではありませんでした。

お金を払わずに外人とおしゃべりできるところ、外人がたくさんいるところはどこだ…そういえば、米軍厚木基地や座間キャンプがあるじゃん!その近くの飲み屋で仲良くなれるんじゃね!

米軍基地というと沖縄県が真っ先に思い浮かびますが、実は神奈川県も米軍基地・施設・管理区域が多くありますし、厚木基地は在日米軍施設の中でも重要なものの1つです。

ちなみに厚木基地と呼ばれていますが、実際は隣の大和市と綾瀬市にまたがっています。厚木の実家からは少し離れていますが、背に腹は代えられません。

そしていざ潜入です。事前に何度か下見(外から様子をうかがっただけですが)しており、いかにもアメリカンバーという雰囲気を漂わせているお店に決めていました。

店内は外人ばかりですが、特にいぶかしがられることもなく、カウンターでバドワイザーを頼んだところで早速、声をかけられました。タトゥーがびっしり入った二の腕が私の太ももぐらいある黒人男性でした。

常にニコニコしていて、私のつたない英語に真剣に耳を傾けてくれていました。「少しボディタッチが激しいな」と感じていましたが、それも外人だからと思っていました。

途中から店の奥にあるドアを何度も指さしてきました。「あそこに行こう」と言っているのは分かりましたが、何があるのか分からないのでさすがに腰が引けていました。

表情も徐々に笑顔が消え、極太の腕で私の腰をがっちりとロックしていました。何度も時計を見て帰ると言ってもまったく離してくれません。

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捕まった…。

そのとき店の奥のドアから外人と日本人(と思われる)の男性が2人、手をつないで出てきました。「これってもしかしてヤバイかも…」と思ったところで、いきなり股間をギュッと掴まれました。

「ヒッ!」と変な声を出して飛び上がってしまい、その拍子でテーブルのグラスが倒れて床に落ちて割れました。その瞬間、店内の視線がこちらに集まり、腰に回された極太の腕が一瞬、離れました。

その隙に外に出て猛ダッシュで逃げました。キャッシュオンデリバリーだったので食い逃げにならなかったのが不幸中の幸いです。後払いだったら逃げられたかどうか分かりません。

いまでこそネットで調べることができ、その店がそのテの場所だと事前に知れたかもしれませんが、当時は知る術がありません。そもそも、米軍基地周辺の夜は危ないことに気づかない私が脳天気すぎです。

とはいえ、外人が集まる場所といえばそれぐらいしか思い浮かばなかったわけで、何とか英語を話せるようになりたいと必死だったのです。「もし逃げられていなかったら」と思うとお尻がキュッとなりますが。

英語の勉強は本当に大変なのです。