友達と友人
「“友達がたくさんいます”って言うんだけど、よくよく聞いてみたら“Facebookの友達です”って呆れちゃったわよ」
景子さんに呼び出され、仕事帰りに一緒に晩ごはんを食べてきたのですが、珍しくご立腹でした。
景子さんのお店でバイトを雇うことにし、面接をしているそうで、きょう面接した女の子が自己PRで自信満々に冒頭のことを言ったそうです。
“友達”とは何なのでしょうか。
人が生きていく上で他者との関わりは欠かすことができず、コミュニケーション能力が高いに越したことはありません。
特に接客業であれば「友達が多い」「交友関係が広い」というスタッフは大歓迎ですし、引く手あまただと思います。
ただ、FacebookをはじめとするSNS上でつながっているだけの人を“友達”と呼んでよいのかどうか。
私はそもそも“友達”という呼び方が苦手で、仲が良い人を“友人”と呼んでいます。“友達”と“友人”は同じ意味で用いられがちですが、本質的にはまったく違うと思っています。
「その“友達”のうち、いまここで連絡できるのは何人?いますぐとは言わないけど、せめて一両日中に必ず返信をくれるのは何人?」― 景子さんはこのように返したそうですが、面接した女の子は答えに詰まってしまったそうです。
「景子さんに厳しく追及されて可哀想に…」と思ってしまいましたが、経営者は厳しくなくてはいけません。2年足らずですっかり経営者となった景子さんを頼もしく感じました。
景子さんも私も“友達”は必要としていません。ほんの数人でよいので、いざとなったときに必ず助けてくれる、信頼できる“友人”を大切にしていますし、そういう人物がお互いにいます。
「ずずずくんなら私が言いたいこと分かるよね?」― 景子さんが本当の女性だったら…と思ったことは言わない約束です。
それにしても、景子さんと外で食事すると「あんな美人とブサイクがなぜ一緒に?リアル『美女と野獣』ね」という視線を浴びます。もう慣れましたが。